駅近、カジュアルで入りやすい「ランチョン」
東京メトロ半蔵門線と都営新宿線、都営三田線が交差する神保町。大学や出版社が集まり、世界一の古本屋街と呼ばれるエリアです。ビアホールであり、「下町の洋食店」を謳うランチョンは、神保町交差点から靖国通りを小川町方面へ1分ほど進むと左手に存在。青緑の看板とコックのおじさん像が出迎えてくれます。老舗店としては、入りにくいタイプの店ではありませんね。
日替わりのランチ内容が確認できる入口の扉を開けると、すぐ左手に螺旋状の階段があり、2階が店舗スペースとなります。
創業は洋食がまだ珍しい1909年(明治42年)
初代が駿河台下の一角に西洋料理店を開業したのが1909年。当時はまだ洋食が珍しい時代。近隣に同業店がなかったこともあり、店名がなくても、“洋食屋”で通っていたようです。しかし、常連の学生たちから名前がないのは変だ、との声が上がり、“ちょっと気取ったランチ”を意味する英語「ランチョン(Luncheon)」を提案され、現在まで使用されています。
さて、創業の1909年(明治42年)。明治は45年までなので、明治末期という時代です。鉄道院が国有鉄道線路名称を制定し、初めて「山手線」の呼称が誕生。世界に目を向けると、1903年に初飛行を行ったライト兄弟が飛行機会社を設立しています。
作家の太宰治や松本清張が生まれたこの年の流行語に、「ハイカラ」があります。ハイカラな洋食店にハイカラな学生が付けたネーミング。ランチョンはそんな時代に生まれた一店として歩みを進めます。
では、ハイカラなランチへと向かいましょう