紹介予定派遣の仕組み
紹介予定派遣とは、いずれ派遣先に直接雇用されることを前提に、派遣スタッフとして働き、派遣契約終了後、本人と派遣先両者の合意が成立すれば、直接採用に転換する仕組みです。派遣スタッフの約4割は、正社員への転換を希望しています(日本人材派遣協会調べ)。「派遣→正社員」につながる可能性のある紹介予定派遣は、そのようなスタッフにとって期待のもてる仕組みといえるでしょう。しかも、派遣期間中に、本当に入社して働きたいと思うか判断できる。
紹介予定派遣は派遣先企業にもメリットがあります。採用予定者の能力や職場との相性を判断したいというニーズがあるからです。紹介予定派遣は、正社員採用でよく設けられている「試用期間」が、オフィシャルな制度になったともいえます。
紹介予定派遣には、通常の派遣とは異なる特徴があります。
紹介予定派遣と通常派遣の違い
- 派遣期間は最長でも6ヵ月
- 派遣期間中に直接雇用に切り替えることも可能
- 派遣就業前の面接や履歴書の送付が認められる
5年で1.5倍になった「紹介予定派遣」
紹介予定派遣の普及は進んだのでしょうか?厚生労働省の「派遣事業事業報告」から実績をみてみましょう。紹介予定派遣が認められた2004年から2009年度にかけて、紹介予定派遣を経て直接雇用にいたった派遣スタッフは10,655人から27,643人と、2.5倍に増えています。派遣会社に紹介予定派遣を依頼する企業も、57,776人から124,217人と約2倍に。いっけん倍増したように見えますが、この間、派遣スタッフの数そのものも、89万人から157万人に増加しているので、派遣スタッフの中で、紹介予定派遣経由で直接雇用にいたるスタッフの割合は、1.2%から1.8%と1.5倍に増加。紹介予定派遣は、5年間で1.5倍の規模になったと考えるのが自然でしょう。
この数字が多いとみるか少ないとみるかは、判断のわかれるところかもしれません。ただ、正社員など直接雇用を望む派遣スタッフの数を考えると、ガイドはもっと普及してほしいと感じます。
紹介予定派遣は、派遣先企業の実態を見極めてから入社の意思を決定できる、派遣就労中に派遣会社のサポートを活用できるなど、メリットの大きな仕組みです。紹介予定派遣への期待は高いものがあるのにもかかわらず、なぜ普及はこの程度にとどまっているのでしょうか?
紹介予定派遣の普及が進まない原因と、それでも直接雇用を希望する場合の対処法は次ページにて。