ゲームの価値を高めなければいけないと主張した岩田社長

岩田社長の図

GDCにおける岩田社長の講演は、ゲーム業界内で大きな話題になりました。

2011年3月2日に行われた、世界中のゲームクリエイターが集まって情報交換などを行う業界イベント、ゲームデベロッパーズカンファレンスで、任天堂の岩田社長は、スマートフォンや、ソーシュルネットワークをプラットフォームとするゲームに対する危機感を訴えました。スマートフォンなどのプラットフォームはゲームの高い価値を維持する動機がなく、数を集めることでビジネスを展開しているという点を指摘し、「私たちは、お客様にどうしてもソフトの高い価値を認めていただきたい」と、立場の違いについて話しました。

この主張は、単なる新しいプラットフォームに対する牽制であるとか、コンシューマーのゲームと比較してスマートフォンやソーシャルネットワークのゲームは質が悪いと言っている、というような形で受け取られることがありましたが、岩田社長が伝えようとしたことはおそらくそうではありません。

コンシューマーゲーム業界にとって、ゲームはお金を払って遊ぶだけの価値のあるエンターテイメントであると思ってもらうことは非常に重要です。その価値を維持する為に、当然ゲームの質の向上も大事でしょうし、ビジネスのあり方も重要です。大量のソフトを基本無料で遊んでもらう仕組みは、ゲームの価値を保てなくなる危険性を持っています。

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無料でたくさんのゲームをもらって、ゲーム体験が豊かになるのか

ゲームがたくさんある図

ゲームが好きな子供なら、ゲームがたくさんあって好きなだけ遊べたらいいなあと、思いますよね。でも、実際たくさんあったら、本当に楽しめるのでしょうか?

ひるがえって、今任天堂が行っている、無料のゲームを次々に打ち出していくやり方は果たしてゲームの価値を高めているのでしょうか。今回、アンバサダー・プログラムで20本ものソフトを無料でもらって、それで1本1本を楽しめる人がどれだけいることでしょう。

子供の頃、本当に遊びつくしたゲームというのは、どうしても欲しいソフトがあって、一生懸命おこづかいを貯めたり、両親にお願いしたりして、発売日を楽しみに楽しみに待ってやっと手に入った1本でした。その1本を、1ヶ月も、2ヶ月も、毎日毎日、ゲームの世界を隅の隅まで楽しみつくして、魔法の呪文を全部覚えるぐらい遊んで、キャラクターと別れるのが寂しいくらいになって、思い出をいっぱい抱えるんです。それが本当に楽しかったから、どうしてもまた次のソフトが欲しくなるんです。そして、ゲームソフトのパッケージを開ける時、またドキドキするんです。今大人になってもゲームファンだという人の多くは、このドキドキをまだ覚えている人ではないでしょうか。

ゲームが好きな子供なら誰でも、もっと好きなだけゲームが遊べたらどんなに楽しいだろうと思うでしょう。しかし、いざ、たくさんのゲームをもらってしまったら、たった1本を遊びつくした時のようなドキドキは失われてしまいます。それが、自分で選んだゲームでなく、しかも簡単に手に入ってしまったら、なおさらです。