購入しようとする土地や住宅と最寄り駅との間、あるいは買物などの日常生活圏内に、幅が広く交通量も多い幹線道路が存在するケースは少なくありません。
このようなところでは、歩道橋や横断歩道の位置、さらにはその利用状態についてもしっかりとチェックをすることが必要です。
自動車優先で発達してきた都市の道路では、横断歩道が少なく、大きな交差点に歩道橋だけが設置されている場合も多いでしょう。
高齢者や足腰を痛めた人の場合だけでなく、大雨、強風、積雪のときなど、日常的に歩道橋を利用することが辛いときもあるはずです。
また、すぐ近くに歩道橋と横断歩道のどちらも設置されておらず、道路を挟んで目の前の施設へ行くのに、横断歩道のないところを渡れば30秒、ルールを守って歩道橋や横断歩道まで迂回すれば5分以上、というようなケースも少なくありません。
さらに、健康な人でも歩道橋を使うことや横断歩道へ回ることが億劫だったり、朝の通勤途中や仕事で疲れて帰ってきたときには歩道橋の上り下りが面倒だったりすることもあるでしょう。
そのため、日中、夜間を問わず、歩行者の多くが横断歩道のないところを渡ることが常態化している交差点もあります。
ある交差点で平日の日中、歩行者や自転車などの様子を30分あまり観察してみたところ、歩道橋を使う人は2割程度で、100mほど離れたところにある横断歩道まで迂回する人や自転車はほぼ皆無。残りの大多数は横断歩道のないところを渡っていました。
別の日に同じ交差点を車で通ったときには、目の前を走って横切っていく小学生を見かけたこともあります。
このようなところでは、いつ重大な事故が起きても不思議ではありません。自分の子どもに「横断歩道のないところを渡ってはいけません」と強く言い聞かせても、回りの大人たちがみんな渡っていれば、そのうち真似をするようになることは想像に難くないでしょう。
土地や住宅を選ぶときには、生活圏内にある幹線道路や交差点の様子などについてもしっかりと観察をするとともに、自分の足で実際に歩いてみて、危険な道路はないか、日常の通勤、通学、買物で使うルート上の歩道橋や横断歩道が適切かなど、想像力を働かせながら確認をすることが大切です。