住まいを「リース」する時代が、近い将来、到来するに違いない
しっかりと分譲か、それとも気楽な賃貸か?――
わが国の持ち家率は約6割ですので、統計上からいえば「持ち家派」:「借家派」=6:4ということで、「住まいは自己所有するもの」というのが1つの答えになります。「マイホーム取得は男子一生の仕事」と言われるように、家を持つことが人生の1つの目標になっているのは、今も昔も変わりありません。
そもそも、なぜ人は家を欲しがるのでしょうか?―― その理由として、よく挙がるのが「家賃はもったいない」「資産として自分のものになる」という回答です。リクルートの「首都圏新築マンション契約者動向調査(2010年)」によると、購入理由のトップ10(重複回答)は以下のようになりました。「金利」「税制」「販売価格」の各水準を比較し、購入のタイミング(買い時)を見定める手法が、今ではすっかり定着しています。
・金利が低く、買い時だと思ったから………………………39.4%
・子供や家族ため、家を持ちたいと思ったから……………37.1%
・現在の住居費が高く、もったいない………………………32.7%
・もっと広い家に住みたかったから…………………………22.7%
・税制が有利で買い時だと思ったから …………………… 19.2%
・住宅価格が安くなり、買い時だと思ったから………………16.9%
・結婚を機に家を持ちたいと思ったから ……………………16.8%
・資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから…………13.7%
・老後の安心のため住まいを持ちたいと思ったから ………12.1%
・持ち家のほうが住宅の質が良いから ……………………10.4%
しかし、「買う」か「借りる」かという二者択一の選択しかできない現状から、そろそろ脱却する時期ではないかと、私ガイドは考えています。思い出してください。たとえば、マイホームの次に高額な買い物となるクルマの場合、「購入」「レンタル」「リース」という3種類の方式が用意されています。であれば、住宅にも「リース」という概念が導入できないはずはありません。
マンション管理において、リース会社が“第三”の管理者となる期待
リース方式を導入した場合、「住宅の供給者」「リース会社」「住宅の需要者(消費者)」という3種類のプレーヤーが登場し、消費者はリース会社とリース契約を締結することになります。リース会社は毎月リース料を徴収しなければなりませんので、売買契約のようにマンションの引き渡しを境に「あとは管理会社とやり取りしてください」といった放漫な態度は取りません。いやが上にも、マンション管理に首を突っ込まなければならなくなります。リース会社がマンション管理のノウハウを有しているかどうかは別として、管理運営に関与せざるを得なくなっていきます。ここに、リース方式を導入する最大のメリットがあります。
ご存じのように、住民のマンション管理に対する「無知」「無関心」が常態化し、最適な組合運営が実施できていない管理組合が増えています。受託管理会社が優秀であれば事態は改善の方向に向かうのですが、現実問題、そう話は簡単ではありません。リース会社が“第三者”の立場でマンション管理に目を光らせることで、「無知」「無関心」による組合運営の停滞が食い止められるのではないかと予想しています。
リースという形態と区分所有という形態を、どのように整理・区別すればいいのかなど、解決しなければならない問題は山積みですが、検討には値するものと考えています。
住まいはリースする時代 ―― 近い将来、このような選択肢が増えていることを期待します。