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更新料訴訟、最高裁にて「有効」判決【詳細】

賃貸更新料に関わる訴訟、最高裁の判決が出ました。結果は、「更新料有効」。これで更新料問題はひと段落つきそうです。

加藤 哲哉

執筆者:加藤 哲哉

賃貸・部屋探しガイド

平成23年7月15日、最高裁にて賃貸更新料に関する訴訟の判決がでました。
結果は、原則として「更新料有効」とのこと。その詳細についてまとめました。

事案と判決について

今回、最高裁にて結審されたのは、以下の3件の事案です。

◎その1
・賃料:月額4万5000円
・敷金:10万円
・更新料:10万円(毎年更新料を支払う)
・平成12年8月に契約。平成18年11月に退去するまで6回更新するうち、平成17年までの5回分の合計50万円を支払っていたため、この50万円の返還を求めて借主が貸主を相手に裁判を起こした。


平成21年8月27日、大阪高裁の判決では、更新料条項は民法90条により無効ということはできないが、消費者契約法第10条により無効であり、平成14年から平成17年までに支払われた4回分の更新料は不当利得となるとのことでした。
(※消費者契約法は平成13年4月に施行されたため、それ以前に契約した1回目の更新料については無効となる)

ところが、今回の判決では消費者契約法第10条により無効だとはいえない、とのこと。
そもそも消費者契約法とは、事業主に比べて情報量や質において弱い立場にある消費者が利益を不当に害することなく安定した生活を送れるようにするもの。もし、締結した消費者契約が一方的に消費者の利益を害するものであれば、その契約が無効となるのです。

ところが更新料についての条項は、更新料の性質が賃料の補充または前払い、また賃貸借契約を継続するための対価であるという点から考えると、更新料の支払に経済的合理性がないとはいえないし、世間一般でも更新料が支払われている地域があることは知られているしため、更新料に関する情報量や質が借主(消費者)と貸主(事業者)の間にそれほど格差があるとはいえません。
またその契約締結においても一方的に押し付けたものではなく、契約時に明確な合意があるものである。さらに、その金額についても賃料や更新時期から考えて高すぎることもなければ(今回がそう)、消費者契約法第10条により無効、とすることはできないとの判決になっています。

>>>他2つの事案はこちら

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