規則正しく食べ、おいしく食事を味わうことも健康に役立ちます。
オレキシンは、脳の視床下部と呼ばれる部分で作用する食欲や睡眠、体内リズムなどに関わるホルモンです。オレキシン神経の活性化は、「味覚刺激」と「摂食への期待感」が関わるというのです。「味覚刺激」とはすなわち「味わうこと」であり、そして「摂食への期待感」とはすなわち「その時間に食事ができると感じること」=規則正しい食事です。
オレキシン神経が、「食事をよく味わいながら、美味しく、規則正しく摂る」ことにより活性化し、オレキシンの放出が促進されることで、同量のカロリーの食物摂取であっても、筋肉での糖の利用が活発になり、血糖の上昇を抑えることがわかりました。食事をただ摂るだけでなく、よく味わいながら規則正しい持間に摂ることで、筋肉での糖の代謝が促進されるのです。
オレキシン神経は、起きている時に活性化され、睡眠中は活動が抑えられます。本研究は夜食症候群の発症メカニズムの解明に大きく貢献することが期待されています。
このように体の様々な仕組みから、夜遅くに食事をしたり、食事を抜かすような不規則な食事の習慣は、生体リズムを乱し、肥満につながると考えられます。今後も研究が進み体と生活習慣の関係などについて、さらに明らかになっていくことでしょう。
まずは食事の内容の見直しから
規則正しい食生活とは、単純に決まった時間に食事をとる、ということだけではなく、適量を心がけ、飲み込まずしっかりよく噛むということも含まれていると思います。さらに何を食べてもよいということではなく、やはり栄養のバランスを図ることも必要です。仕事の関係で、夜遅くに食べなければならない場合には、夕方に間食を入れたり、深夜の摂取量を減らすなどして、朝食を食べやすい状態にする工夫をしてみましょう。
夜遅いと、きちんとした食事は胃にもたれると言って軽食でという人がいますが、その中身を聞いてみると案外スナック菓子やスイーツを食べている人もおり、脂質や糖分の摂取量が高い場合もあります。「なんとなく食べる」ではなく、「何を、いつ、どのように食べるか」を自分で把握して食べることは大切なことなのだと思います。
参考/
・川島教授が語る!「朝ごはんのチカラ」
・早寝早起き朝ごはんに関する文部科学省の施策について(文部科学省)
・「食事をよく味わいながら規則正しく摂ることは健康に良い」ことを証明(自然科学研究機構 生理学研究所)
・「今後の食を探る 時間栄養学から考える朝食の重要性」(社団法人全国はっ酵乳酸菌飲料協会はっ酵乳 乳酸菌飲料校正取引協議会)
・社団法人 日本栄養士会
・『時間栄養学 時計遺伝子と食事のリズム』(女子栄養大学出版部)
・『時間医学』(ミシマ社)
その他