震災前は、世界の景気拡大によって、日本の景気も回復の兆しが見えていました。しかし、福島での原発事故によって、東京電力管内では電力が不足する事態が発生。春に行われた計画停電に続き、夏場の電力不足に備えて電力使用制限が発効され、休業日の変更や就業時間の調整等、企業の生産活動に影響を及ぼしています。
電力の安定供給が見通せない状況が当面は続くと予測される中、今回は、今後どのような投資信託(ファンド)が有望なのか考えてみたいと思います。日本国内に加え海外のファンドについても見てみましょう。
日本で注目の投資信託は
まず日本国内で注目したい投資信託としては、新興市場を投資対象にしている投資信託が挙げられるでしょう。TOPIX(上)と東証マザーズ指数(下)の2008年以降の株価チャートを見てみましょう。
リーマンショックという事態ではどちらも大きく下落しましたが、2010年以降は東証マザーズ指数が堅調に推移しています。さらに、震災の影響をさほど受けることなく、比較的右肩上がりに推移していることがわかりますね。
日本国内では、原発問題の終息が見通せず電力供給が安定しないため、景気の先行きを見通すことは難しい状況だと言えます。さらに、最近ではアメリカ経済の減速懸念や、ユーロ圏の財政問題等、世界経済の先行きも不透明感を増してきています。できれば、景気の影響を受けやすい大型株等を投資対象としている投資信託は避けたいものです。
一方、個人投資家の人気を集める新興市場には、景気の影響を比較的受けにくいネット関連銘柄が多くあります。景気の先行きが不透明な状況が続く間は、しばらく新興市場や中小型株に投資家の人気が集まるかもしれません。
海外で注目の投資信託は
海外で注目したい投資信託は、中国やインド、ブラジル等を投資対象とした新興国ファンドです。ユーロ圏では、ギリシャやスペインで発生した財政問題がイタリアにまで波及し始めています。解決に一定の目処がつくまでは、株式相場も為替相場も一進一退の動きが続く可能性が高いでしょう。また、アメリカでは経済の減速懸念が出始めており、今後の動向に注目が集まる所です。
一方、新興国では、インフレへの懸念から金融引き締め政策がとられています。しかし、新興国の経済はいまや世界済を支えていると言っても過言ではありません。短期的に見れば多少の景気減速があったとしても、中長期的に見れば、再び世界経済を拡大させる牽引役となることはまず間違いないでしょう。
とは言え、新興国はリスクが高い投資先になります。「新興国に投資してみたいけれど不安がある」という場合にはリスクが比較的少ない債券型、「リスクをとってでも新興国に投資したい」という場合には株式型がオススメでしょう。
なお、最近は分配型の新興国ファンドが人気を集めていますが、元本を取り崩していないか等分配金の支払い状況を事前に確認することが大切です。