尖圭コンジローマとは? 主な症状・検査法・再発リスク
女性はコンジローマをワクチン接種で予防できます
尖圭コンジローマでは、男女ともに外陰部や肛門周囲に鶏冠状のイボができます。痛みや痒みを伴うことは少なく、イボに気づかなければほとんど自覚症状がないため、気づかないうちに病気が広がっていたり、複数のパートナーに感染させてしまうことがあります。イボが大きくなると、痛みや痒みが出ることがあります。
後述しますが、女性の場合、尖圭コンジローマになった人の一部に、子宮頸がんの原因となるハイリスクタイプのHPVに同時感染していることがあるため注意が必要です。 尖圭コンジローマの原因やリスク、治療・予防法について詳しく解説します。
尖圭コンジローマの原因・感染経路…ウイルス感染により発症
オーラルセックスも含めた性行為によって、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の6型や11型に感染することで発症します。感染してから、目で見て分かる「イボ」ができるまでに3週間~8ヶ月間の潜伏期間がありますので、感染機会を特定できないケースもあります。HPVは100種類以上の「型」があり、6型や11型は皮膚にイボを作るタイプのものです。陰茎がんや子宮頸がんの原因となることはないため「ローリスクタイプ」に分類されています。
子宮頸がんや母子感染…女性特有のコンジローマのリスク
一方、同じHPVでも16型や18型の「ハイリスクタイプ」に分類されているものが子宮頸部に感染すると、子宮頸がんのリスクが高くなります。ローリスクタイプとハイリスクタイプの両方に感染することも珍しくありません。感染=がんになるというわけではありませんが、ハイリスクタイプのHPVに感染した場合はよりこまめに子宮頸がん検診を受ける必要があります。膣の出口にイボができたと言って受診なさった10代の女性は、コンジローマになっていましたが、子宮頸がんの検査でも「中等度異形成」という結果でした。中等度異形成は、まだ治療が必要なレベルではありませんが、さらに病変が進んで「高度異形成」になると手術による治療が必要になります。
女性の場合、出産の時に膣内や外陰部にイボがあると、そこからHPVが感染し、赤ちゃんにコンジローマのイボができたり、喉にウイルスによるイボができたりすることがあります。
尖圭コンジローマの治療法…薬物療法・外科的治療
前述の通り、尖圭コンジローマは再発率が高いため、定期的に再発していないかをチェックし、少しでもイボがあれば性交渉は控えなければいけません。また、パートナーも同時に感染している場合が多く、その時明らかな症状がなくても数ヵ月後にイボができてくる可能性もあるため、十分な期間注意して様子を見る必要があります。■凍結療法
液体窒素を含ませた綿棒をイボに押し当てて凍結壊死させる方法。イボがなくなるまで1~2週間ごとに繰り返し行う必要があります。
■軟膏・治療薬
イボのある部分にコンジローマの治療薬を塗る方法。毎日塗ると副作用で皮膚がただれたりヒリヒリすることがあるので、週3回使用します。外陰部や肛門周囲のイボには使えますが、膣内のイボには使えないため、使用できる場所が限られます。
■電気メスによる尖圭コンジローマの切除
電気メスでイボを直接切り取る方法。局所麻酔で外来で処置できるため、入院の必要はありません。切り取る範囲が広いとその部分がひきつれて、術後に違和感や性交痛が残る場合があります。
女性はワクチンで予防可能? 尖圭コンジローマの予防法
コンドームを毎回初めから正しく使うことが有効な予防法。ただし、HPVが肛門周囲など性器以外の場所にいた場合は、コンドームだけでは防ぎきれないこともあります。お互いに性器や肛門周囲にイボができていないかを確認し、疑わしい場合は接触しない事も大切です。また、女性はワクチン接種を行う事でコンジローマを予防する事ができます。子宮頸がんの原因となるHPV16型と18型、コンジローマの原因となるHPV6型と11型の、4種類のHPVを予防できる「ガーダシル」というワクチンを接種すれば、コンジローマを防ぐ事ができます。
ただし、ウイルスに感染する前にワクチンを打たなければ意味がないので、感染機会ができる前、つまり性交経験がないうちに接種することが重要です。