ハーグ条約とは?

ハーグ条約

国際離婚後の親権に大きく関わってきます

去る5月20日、新聞各紙に次のような記事が掲載されました。
「政府は19日午前、国際結婚が破綻した場合の子どもの扱いを定めたハーグ条約に関する関係閣僚会議を開き、同条約に加盟する方針を決めた。」(日本経済新聞電子版)

「国際結婚が破綻した」とは、つまり国際離婚になった場合のことで、その際の子どもの親権をめぐる国家間の条約に、日本も今後加盟する方針であるということです。

では、ハーグ条約とはどのような条約でしょうか?
正式名称は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」といい、1980年にオランダのハーグで締結されたため、ハーグ条約と呼ばれています。16歳未満の子が対象で、離婚後、一方の親が同意なく子どもを母国に連れ帰るなどした場合、もう一方の親が返還を申し立てることができるというものです。

そうなると、子どもは元居た国に戻らなければなりません。ただ、これはあくまでハーグ条約の加盟国間だけで有効な取り決めなので、日本は今まで加盟していませんでしたから、この申し立てに従う必要はありませんでした。

そのため、起こっていた問題とは……

例えば、アメリカで米国人男性と結婚した日本人女性が、子どもが生まれた後、離婚という事態になった場合、子どもを連れて日本に帰るという例が少なくありませんでした。するとハーグ条約に加盟しているアメリカでは、元夫が子どもの返還を要求できるのです。そして、応じなかった場合、元妻を“誘拐犯”として訴えるというケースも出てきています。

国際離婚の増加も背景に

今まで日本が加盟しなかった理由は、女性が元夫のDVから逃れてきたというケースがあるので、そのような日本人を保護するという意味合いや、親権制度の違いなどが挙げられています。

ハーグ条約加盟国は2011年5月現在で85カ国。主要国で未加盟なのは日本とロシアで、加盟国からは早期の条約批准を求められていたことが、今回の決定の背景にあると思われます。

また、国際離婚による親権トラブルの急増も理由の一つでしょう。人口動態統計によると、2006年まではほぼ増加で推移していた国際結婚の婚姻数が、それ以降減少しているのに対し、国際離婚件数はずっと増加し続けています。つまり国際離婚率は高くなっているということ。その分、トラブルが増えるのも仕方ないかもしれません。

ハーグ条約では、子どもが虐待されるおそれがある場合は返還を拒否できるとされているものの、条約加盟には慎重論もあります。加盟にともなって、関連する国内法の整備も必要になってくるので、今後の動きに注目していきたいと思います。

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