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晩婚・高齢出産のライフプラン・家計で注意すべきこと(2ページ目)

最近、晩婚化・高齢出産化という言葉をよく目にするようになりました。若い年齢で結婚し出産した40代共働き夫婦の家計とこれから出産を予定している40代共働き夫婦の家計を比較しながら、晩婚・高齢出産のライフプランと家計について注意すべき点について考えてみます。

平野 泰嗣

執筆者:平野 泰嗣

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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山本さんも田中さんも貯金は同じ!?

■収入と可処分所得
40代の子どものいない共働きと子どものいる共働きの家計の違いは?

40代の子どものいない共働きと子どものいる共働きの家計の違いは?

山本さんと田中さんの収入と可処分所得を比べてみましょう。夫の年収は田中さんの方が年齢は上のせいもあり多いのですが、妻の年収は子どもの手が離れたといっても少しペースを落として働いているため、世帯年収としては山本さんの方が多くなっています。

同様に毎月の収入も山本さんの方が3.2万円多いのですが、税扶養の関係(※)で可処分所得は0.7万円程度の差となり、ほぼ同じになっています。
※平成23年から年少扶養控除(0歳~満16歳までの子どもに対する扶養控除)は廃止

これから子どもが生まれてくる山本さんの場合、特に子どもが小さい時期は、育児・子育てに手間と時間がかかり、働くペースを調整するなどの理由で大幅に収入が減ることも十分考えられるので、注意が必要です。

■支出項目ごとの出費は子どものいる田中さんの方が多い?
山本さんと田中さんの1ヶ月の支出を項目ごとに比較してみましょう。高校生と中学生の子ども2人がいる田中さんの家計では、教育費が5.9万円と重くのしかかっています。食費や水道光熱費、家具・家事用品、医療費など出費は、子どもが2人いる分、やはり田中さんの方が多いようです。また、被服・履物の出費はほぼ同額ですが、田中さんは子ども2人分の被服・履物があることを考えると、夫婦のための出費はかなり抑えられていると予想されます。一方、教養娯楽費や交際費などを含むその他支出は、子どものいない山本さんの方が多くなっています。

子どもがいると自然に増える養育費と教育費を、教養娯楽費やその他支出などを抑えるやりくりをしながら、なんとか毎月の黒字を確保している田中さんの苦労が伺えます。これから子どもがうまれてくる山本さんの場合、今までは比較的自由に自分たちのためにお金を使いながら、ある程度貯蓄ができていましたが、これからは、自分たちの自由に使えるお金を減らして、子どものためのお金にシフトする必要があります。まだ、家計に余裕があるから、その分で子どもの支出を賄おうという考えは危険です。

■山本さんも田中さんも貯金は同じ!?
山本さんと田中さんの家計で一番注目すべき点は、貯蓄残高です。年齢は田中さんの方が3歳年上で、貯蓄残高を見ると山本さんより約90万円低い金額ですので、一見すると、田中さんの方が家計状態は若干悪いように感じられるかもしれません。

でも、考えてみてください! 田中さんは、これまで2人のお子さんを17歳と14歳になるまで育ててきました。これから教育費のピークを迎えることになりますが、子ども2人を大学へ進学させても、貯金がマイナスにならない程度の蓄えは十分あります。そして、2人目の子どもが大学を卒業する8年後でも、田中一郎さんは55歳なので、60歳を定年と考えると老後のための貯蓄するための期間が5年間あります。

一方、山本さんの場合はどうでしょうか? これから子どもの養育費と教育費の準備をしなければなりません。また、60歳を定年と考えると、今年生まれてくるお子さんは定年時まだ16歳……。高校・大学と教育費の負担が多い時期は、定年後ということになります。そう考えると、定年までの16年間で、教育費の準備と老後のための貯蓄をしていかなければなりません。今から余程の覚悟をもって貯蓄していかなければ、将来の家計が破たんしてしまう恐れがあります。

>>晩婚・高齢出産のライフプランと家計で注意すべきことは?

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