マンション物件選びのポイント/マンションの性能・耐久性

熱中症を防ぐための住まいの断熱・遮熱対策

梅雨が明けると暑い暑い夏がやってきます。今年は節電対策でエアコンも控えめモードですが、暑い室内に居るだけで熱中症になることも。住まいの屋根・壁・開口部の断熱・遮熱対策を施して熱中症を防ぎましょう。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

今年は節電対策でエアコンを控えめにせざるを得ない状況になりますので、ぜひ住まいの熱中症対策をしておきましょう。熱中症とは高温度下で労働や運動をしたために起こる熱射病で、脱水・けいれん・虚脱などの症状が現れます。

高齢者や幼児は特に熱中症対策を

日最高WBGT温度と熱中症患者発生率の関係(出典:環境省HP)

【グラフ】日最高WBGT温度と熱中症患者発生率の関係(出典:環境省HP

環境省によると熱中症の発生率は「暑さ指数(WBGT)」に比例して増加するそうです。暑さ指数(WBGT)とは湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、WBGT温度が31度以上になると全ての生活活動で熱中症が起こる危険性があるとのことです。環境省の熱中症予防情報サイトでは現在の暑さ指数速報や、今後の暑さ指数予報を発表しています。

昨年の夏の猛暑では熱中症で救急搬送された人が増加しました。地球温暖化の影響もあり日本が亜熱帯化したとも言われ、今年の夏も十分注意が必要です。特に暑さを感じにくい高齢者や体の小さい幼児は要注意です。

建物の断熱・遮熱で熱中症予防

人は一日のうち80%~90%は壁・床・天井などに囲まれた建物の中で過ごしています。建物、特に住まいに断熱・遮熱対策をとっておくことは熱中症予防に大きな効果があります。

断熱対策:緑化する

マンションのベランダに設けられたグリーンカーテン。窓の外側で太陽光をシャットアウトすると効果が大きい。

マンションのベランダに設けられたグリーンカーテン。窓の外側で太陽光をシャットアウトすると効果が大きい。

屋根や壁の断熱効果を高める方法として「緑化」があります。屋上緑化は都市部のヒートアイランド現象に効果があると確認されており、それだけでなく建物の断熱効果や紫外線による劣化防止効果があります。

屋上緑化、壁面緑化によって建物の断熱性を高めれば、暑い日の室内環境も良好になり、空調機を使う頻度も減って省エネにもなります。屋上緑化、壁面緑化はマンションでも戸建住宅でも取り入れられる方法です。

また、窓面においても、窓の外側にゴーヤやへちまなどのつる性の植物をはわせると、室内にカーテンを引くより効果があります。窓ガラスの内側に設けたカーテンは真夏に40℃近くになり室内の放射熱源となってしまうのに対し、窓の外側の植栽は、日射を受けると蒸散作用が盛んになり、葉っぱそのものが熱くなって熱源になることはありません。窓面の緑化は気軽に行え、お勧めです。

遮熱効果:遮熱性塗料の利用

遮熱塗料を塗った屋根。カラーによっても遮熱効果が異なる。こちらの黒は日射反射率28.4%。

遮熱塗料を塗った屋根。カラーによっても遮熱効果が異なる。こちらの黒は日射反射率28.4%。

遮熱塗料は太陽からの赤外線の反射率を向上させた塗料で、屋根面に塗布することで夏の暑い日でも屋根の温度上昇をおさえます。屋根の戸建住宅の屋根や、屋上のコンクリートテラス、玄関先など塗れる塗料もあります。

例えば戸建・マンションとも屋根と外壁のメンテナンス周期が約10~15年ごとに訪れますが、その時に普通の塗料ではなく遮熱性の機能がある塗料をを検討してみてはいかがでしょうか。一般的な塗料より材料費はやや割高になりますが手間暇はあまり変わりません。メンテナンスを行うとともに遮熱性があがり、一石二鳥です。

次のページでは遮熱と断熱の違い、夏を涼しく過ごすコツをお伝えします。
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