1.忙しいドクターには簡潔なコミュニケーションが不可欠

理想のMR像に近づくために

薬の売込よりも患者への貢献を第一に考えた行動が信頼につながる

MRがドクターと話せる機会は、病院の廊下を移動する数分間だったり診療所で患者が少ない時間帯の診療の合間だったりと、わずかな空き時間である場合が少なくありません。

そのためMRにまず必要なのは、短時間でわかりやすく簡潔に説明できるスキルであり、ドクターの反応を迅速・的確に把握できる理解力。どの業界の営業職でも説明力や理解力はもちろん必要ですが、こうした簡潔なコミュニケーション力が極めて重要であるという点はMRに特徴的な点です。そのため、コミュニケーション力はMR未経験者の選考の際に面接官が最も重視する点の1つでもあります。
 

2.空気を読むことが信頼獲得の第一歩

ドクターに会うためには長く待つことも珍しくありません。やっと会えたとしても、診察や手術の後で疲れているときもあれば、何かの理由で機嫌が悪いこともあります。こんなときに「せっかく長く待ったのだから」と無理に仕事の話を切り出しても、無視されるか相手を怒らせてしまうだけ。こういう場合には「お疲れ様でした」と笑顔でお辞儀をしてそのまま立ち去ったほうがマシです。

人命を預かるドクターの精神的なストレスは、我々の想像以上です。自分の都合ではなく相手の立場に立って判断することができないMRに、ドクターは決して心を開いてはくれません。
 

3.なにはともあれドクターの役に立つことを心がける

ドクターが求めるMR像をひと言で表せば、「信頼できて役に立つMR」。従ってMRはドクターの治療の役に立つことで信頼を得ることを目指すわけですが、入社したてのMRにドクターはそんなレベルを期待していません。自分の役にたってくれそうかどうか、関心はそこにあります。

まずは御用聞きに徹すること。そして、治療に関係ないことでも何か情報提供を依頼してもらえたらチャンス。ドクターが想定しているタイミングより少しでも素早く情報を持っていくのです。さらに気を利かして、依頼された情報に関連して参考になりそうな情報も付け加えましょう。

こうした地道な努力を繰り返すことによって、レスポンスが早くて気が利くMRという印象を持ってもらえたら、次第に薬や治療に関するニーズも教えてくれるようになっていきます。本当の勝負はそこからですが、まずはできるだけ早くこの段階までたどりつくことが大切です。
 

4.ドクターに関する「情報カルテ」をつくる

新たに担当したドクターに関しては、医学的な関心分野はもちろん、仕事以外の趣味や関心事、院内・院外の人間関係(仲の良い人、悪い人)も含めてなるべく多くの情報を把握することが良好なコミュニケーションの鍵となります。

診療所の待合室や診察室を注意深く見てみると、ドクターの関心時が見つかる場合も少なくありません。待合室に置かれている雑誌はドクターの趣味で講読しているものかもしれませんし、壁に飾られている絵は趣味で描いたものかもしれません。診察室のデスクの小物やカレンンダーのメモがヒントになる場合もあります。

こうして集めた情報は個人ごとの「情報カルテ」にまとめていきます。趣味や関心事は会話のきっかけに使えるだけでなく、自分も興味があるので教えてほしいとお願いすれば一気に親近感が高まる場合も。なによりも自分に興味を持っていろいろ知ろうとする相手に対しては、誰でも悪い気はしないものです。
 

5.ドクターの周囲に自分の味方をたくさんつくる

ドクターの信頼を得るには周囲の人々との関係も大切。

ドクターの信頼を得るには周囲の人々との関係も大切。

ドクターの情報を把握するためには周囲の人に目を向けることも大切です。たとえば、診療所であれば受付担当者や看護師さん。病院であればそれに加えて院内薬局の薬剤師さんや検査技師さんなどです。

こうした人たちとも積極的にコミュニケーションを図ることで、ドクターのスケジュールや休憩時間を過ごす場所、趣味や交友関係、あるいは嫌いなMRのタイプなど、様々な情報を得ることができます。

将を射んと欲すればまず馬を射よ。ドクターのまわりにいる様々な人とのコミュニケーションを大事にすることが、ドクターと良好な関係をつくる上でも大いに役立つのです。
 

6.ドクターのタイプに応じて接し方を選ぶ

高い実績を上げているMRに、転勤などで初めて担当するドクターに対して最初にやることを聞くと、ドクターのタイプを把握することから始めるという答えがよく返ってきます。

たとえば几帳面な性格だとわかれば訪問する曜日や時間帯をいつも同じにしたり、学術志向のドクターには他社MRよりも少しでも早く最新情報を届けるなど、ドクターのタイプに応じて信頼を得るための方針を決められます。

ドクターのタイプを見極めるには、自分に対する態度だけでなく他社MRに対する接し方も観察したり、看護師、事務スタッフ、卸のMS(Marketing Specialist)、他社MRなどからの多面的な情報で判断することが効果的です。
 

7.ドクターに教えを請うことは勉強と親密化の一石二鳥

ドクターのなかには、気に入ったMRには進んで疾患や治療に関して教えてくれる人もいます。ドクターのタイプを把握していくなかで、こうしたドクターを見つけることができたら積極的に教えを請うこと。教えてもらったことが身についていく姿を見てもらえれば、ドクターに自分の生徒のような親近感を持ってもらえることも期待できます。

親近感を持ってもらえれば治療上のニーズも教えてもらいやすくなり、ニーズに応じた説得力ある自社医薬品の説明も可能になります。もちろん教えてもらうことで自分自身の知識も深まり、他のドクターの話を理解するうえでも役立ちますのでまさに一石二鳥です。
 

8.売り込みよりも治療への貢献を第一に考える

ドクターにとってMRは「薬物治療のパートナー」。しかし自社の医薬品の良いところを宣伝するだけのMRは、パートナーどころか貴重な時間を奪う厄介者と映る場合すらあります。

では、ドクターに薬物治療のパートナーと感じてもらえるのはどのようなMRでしょうか。
  • 自社の医薬品だけでなく、競合メーカーの医薬品について聞いても的確な答えが返ってくる
  • 症例によっては、他社の医薬品の方が適していると判断すればそちらを薦めてくれる
  • 自社の医薬品の副作用など自社に不利な情報も包み隠さず伝える
  • 専門外の情報でも依頼すればすぐに調べて的確な情報提供をしてくれる
すなわち、自社の医薬品の販売よりも患者の治療を第一に考えて行動してくれるMRこそが、ドクターの目にはパートナーと映るのです。
 

9.あえて気難しいドクターを狙う

担当地域のなかには、気難しいことで評判のドクターが1人や2人はいるものです。他社のMRも担当が変わるたびに訪問し始めるけれど結局は長く続かず諦めて訪問するのをやめてしまう、そんなドクターがいたらチャンスです。

一見、こうしたドクターを訪問するのは無駄に思えるかもしれません。しかし見方を変えれば競争相手となるMRのいないドクターであり、しかも自社の医薬品を使い始めてくれれば競合メーカーに奪われる心配のないドクターです。競合の激しい製薬業界で、こんな恵まれた環境はないといってもいいでしょう。

それにこうしたドクターはMRから十分な情報提供を受けていませんから、満たされていない情報ニーズもいろいろあるはずです。他社MRとの差別化も簡単。他社MRよりも長く訪問し続ければいいのです。長く訪問しているうちにドクターと接する要領やニーズもわかってくるでしょうし、相手にも熱意は必ず通じるものです。
 

10.ドクターから訪問を待ち望まれるMRになるために

ドクターから訪問するのを期待されるようになればMRとして一人前。簡潔なコミュニケーションスキルを身に付け、空気を読んで相手のタイプに応じた対応ができ、ドクターから患者志向で役に立つMRという印象を持ってもらえるところまでくれば、訪問を期待されるようになるまであと一歩です。

そのためには曜日や時間帯を決めて訪問してみましょう。ドクターにとっても予定を立てやすいので便利ですし、訪問を期待してもらうのにも役立ちます。訪問時には必ず次回訪問までの宿題をもらうことも効果的。宿題の内容がドクターの興味を惹くものであればあるほど訪問を待ち望まれることになります。

いつもの曜日・時間帯に訪問しなかったとき、次の訪問時にドクターから「先週はどうしたの?」と聞かれたら、それはもうドクターがあなたの訪問を期待するようになった証です。異業種からMRになられたみなさんが、ドクターから訪問を待ち望まれるMRになる日が一日でも早く来ることを望んで止みません。

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