MRの給与体系

MRの年収で特徴的なものは営業日当と借上社宅補助の手厚さです

MRの年収で特徴的なものは、営業日当と借上社宅補助の手厚さにある

給与体系に関しては、異業種の営業職と比べてMRに特別変わった点はありません。一部の外資系製薬会社には年俸制も見られますが、多くの製薬会社は月給制。基本給の定期昇給があるのも異業種と同様です。

手当は、外資系製薬会社も含めてほとんどの製薬会社に残業手当見合いとして営業手当があります。これも異業種の営業職の場合と同じです。

家族手当のある会社もありますが、国内の大手製薬会社や外資系製薬会社では成果主義の傾向が強くなってきているため、家族手当など実力や成果に関係のない手当は見られなくなってきています。

賞与に関しては、ほとんどの国内製薬会社は1年に2回、夏と冬にそれぞれ評価を反映させた賞与があります。外資系製薬会社の場合は1年に3回の賞与を支給する会社が多く見られます。その場合、夏と冬には評価が反映されない固定賞与が支給され、あと1回は業績賞与として個人の評価が反映されます。

他にはセールスインセンティブとして、会社の重点販売品目に対する個人の営業実績に応じた報奨金が支給されたり、個人の営業実績が上位のMRは海外研修に行けるといった制度も多くの製薬会社で行われています。

営業日当と住宅費補助

異業種の営業職と比べてMRに特徴的な収入としては、営業日当と住宅補助があります。営業日当とは、1日に一定時間の外勤営業活動を行った場合に支払われるもので、金額としては1日あたり3,000円前後。国内製薬会社にも外資系製薬会社にも、ほとんどの製薬会社で見られます。営業手当の他に営業日当まであるのはちょっと驚きですよね。MRは朝早くから夜遅くまで外勤の時間が長いのに、外勤だと残業手当が出ないので、それをこうした制度で補っているんですね。

住宅補助は異業種でもありますが、製薬会社ではその手厚さが特徴です。多くの製薬会社は「借上げ社宅制度」という形をとっています。MRが住む賃貸住宅を社宅扱いとし、家賃の一定比率または一定金額を自己負担、残りを会社負担するというもの。

会社負担の比率は家賃の70%~90%程度の場合が多く見られます。家賃に上限を設けて上限家賃を超える額は自己負担とする会社がほとんどですが、それにしても会社による住宅費の補助はかなりの額。MRは転勤が多く、転勤への抵抗感を少なくするために手厚い住宅補助が支給されているのですが、なんといってもこの補助の厚さは高収益産業であ製薬業界ならではですね。住宅補助金額は国内大手製薬会社の方が外資系製薬会社よりもやや高くなっています。

MRの年収水準

MRの年収水準は異業種の営業職と比べると高いと言えます。これは基本給の高さに加えて、営業日当という制度と住宅補助の手厚さによります。製薬会社の間でMRの年収水準を比較すると、住宅補助の手厚さもあって大手国内製薬会社の水準が一番高いようです。次いで大手外資系製薬会社、国内準大手製薬会社、国内中・小製薬会社といった順になります。

ジェネリック医薬品(GE)は新薬に比べて薬価が低く抑えられるため、ジェネリック医薬品専業の製薬会社は人件費も含めた経営コスト全体を抑える必要があります。そのためGE専業の製薬会社は、結果的に新薬を扱う製薬会社に比べて給与水準は低くなる傾向にあります。

コントラクトMRの給与体系および年収

MR業務を製薬会社から受託して行う会社をCS0(Contract Sales Organization)と呼び、そこで働くMRをコントラクトMRと呼びます。コントラクトMRの給与体系は会社によって異なり、月給制の会社もあれば年俸制の会社もあります。

製薬会社と同様に給与とは別に営業日当を支給する会社の他に、営業日当に相当する金額を年俸に含めている会社もあります。住宅補助については、転勤者や入社時に転居の必要な人に対してのみ支給する会社もありますが、住宅補助のない会社がほとんど。住宅補助のある会社でも、製薬会社のような手厚い補助はありません。

給与水準はMR認定資格を有するMR経験者の場合、30代の前半くらいまでは国内中堅製薬会社と比べて遜色のない水準ですが、住宅補助も含めたトータルの年収水準としては住宅補助がない分だけ製薬会社よりは低くなるといえるでしょう。

MR未経験者の年収水準

コントラクトMRの場合、未経験者はMR経験者より低い年収からのスタートとなるのが一般的。これは給与の等級制度において、MR経験およびMR認定試験合格の有無が等級の必要要件となっているため、未経験者は年齢にかかわらず一番下の等級に各付けられることによります。スタート段階の年収水準としては400万円台が一般的です。入社後にMR認定試験に合格すると2年程度で1つ上の給与等級に昇格して給与水準が上がる場合が多いようです。

製薬会社の正社員MRの場合、未経験者はコントラクトMRと同様にMR経験者よりも給与水準が低く設定される会社もありますが、社内の同じ年齢の標準的評価のMRと同じ水準からスタートとなる会社もあります。その場合は年齢にもよりますが500万円台となる場合が多いようです。

転職時の給与はどうやって決まる?

転職時の給与は転職前年収水準と転職先の同年代MR給与水準に面接時評価で決まります

転職時の給与は転職前年収水準と転職先の同年代MR給与水準、それに面接時の評価で決まります

転職相談の際に「給与の交渉はどのタイミングでするのか?」という質問を受けることが時々あります。MRでは、転職時には給与を決めるための交渉のような機会はありません。

給与は「転職先企業における同じ年齢の標準的評価の社員の給与水準」と「転職者の転職前の給与水準」という2つの金額を参考に、面接での評価を考慮して決めるというのが多くの製薬会社の給与の決め方。2つの金額のどちらを重視するかという点は、製薬会社によって違いがあります。

転職によって年収アップは可能か

給与水準のアップを期待して転職を考える方も珍しくありません。特にこれまでの実績や自分の能力に自信を持っている方は、そうした希望が強いでしょう。しかし、いくら面接で評価が高くても、それだけで転職先の同年代のMRを明らかに上回る水準の給与がオファーされることはありません。

面接によって実力の高さを評価されたとしても、まだ実際の勤務を通じて確認されていません。何年も会社への貢献を積み重ねてきた同年代の人たちを、大きく上回る給与にできないのはもっともな話です。

転職で給与水準が上がるのは、同年代の平均的な給与水準の低い会社から高い会社に転職した場合に限られます。転職時に提示される年収は評価が標準の場合の賞与金額を想定して算定。そのため、転職前の年収と比較する場合には注意が必要です。転職前の年収は評価が反映された金額となっているため、評価が高かったり低かったりした場合は、転職先企業から提示される年収とは算定の前提が異なり、そのままでは正しい比較にはなりません。転職前の年収を標準評価の場合に置き換えて比較することが必要です。



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