二人でゆっくりできる隠れ宿はないものか!?
貸切露天風呂や和モダンなベッドルーム、個室の食事処などが設えられた、しっぽりとした「隠れ宿」が全国で流行して久しい。非日常を味わえる格好のスタイルであることから、今でも人気がある。しかし、ややもするとクオリティの高くない宿があるのも確かである。安さばかりを過度に追求した結果だろうか、設備投資ができずに個室露天の湯は真水だったとか、喫煙グループ客と同宿となり、賑やかすぎてせっかくの記念日が台なしになったということも聞く。さらに、私にとって、究極の残念は、「山」まで行って「京風創作会席」を食べさせられることである。そうそう、そうなのよ。でも、誰も言わないから、旅館も気づかない。
そんな声が聞こえてきそうだ。
二人客のための「おふたり様専用宿」
そんな思いの方に朗報。二人で落ち着いた宿に泊まりたいという思いが通じたのか、日本でも「おふたり様専用の宿」が生まれつつある。その一軒、山形県・湯の沢温泉「時の宿すみれ」(米沢市)を紹介しよう。おふたり様専用の宿「時の宿すみれ」は、森の中にある
「二人のお客様がゆっくりと寛げる宿を創りたい」。そう考えた黄木さんは、周囲の反対の声をさえぎり、ひとつの理想の宿を創造した。
宿泊は、2名での利用者限定。ひとり旅も3名客も受けない。「なじみだから特別に」と、すみれ荘時代に懇意にしていた方々から言われても断った。おふたり様だけに「選択と集中」。言うがやすく行うが難い、この勇気が、新たなリピーターを呼んだ。
時計のない部屋でグラスワインを
こぢんまりした和室
ただし、どの部屋にも風呂は付かない。渓流か森を眺めながら入る源泉かけ流し大浴場や貸切露天風呂が部屋からも近いので、そちらに何度も通えば十分だからである。
リビングの付いた洋室
そして、「時の宿すみれ」の特筆すべき個性は、その夕食にある。