ジウジアーロ×ピニンファリーナ×フェラーリ

気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」という中古車をご紹介しているこの企画。今回はマセラティスパイダー(絶版)を取り上げたいと思います。ジウジアーロ率いるイタルデザインと名門ピニンファリーナによるコラボで生まれた美しいオープンカーに、フェラーリの2ペダル6MTを搭載したという、何とも凄いスター集団による合作というか、ドリームチームを具現化したような贅沢な一台。当然ながら新車時価格は、定員わずか2名にも関わらず、1295万円(普通の6MTなら1250万円)もしました。しかし今なら300万円台からこのドリームチームを手に入れることができるのです。

マセラティスパイダー フロント

最高速度は283km/h、0~100km/hはたった5秒。キーをひねって無造作にアクセルを踏むと、簡単にリアホイールが空転してしまいます。しかしスポーツカーではなく、あくまでもエレガントなスポーティカー然とした走り。余裕?というやつでしょうか

2001年10月のデビューに至る道のりは、実はあまり平坦ではありませんでした。そもそもマセラティは戦後フェラーリのライバルとしてレース界で大活躍。また名車として知られる3500GTなど、量販車も続々と登場しました。ところが次第に業績が悪化し、90年代半ばに宿敵ともいえるフェラーリ傘下に収まります。こうしてフェラーリのクオリティコントロール化のもと初めて生産したのが、1997年登場の3200GT。3.2LのV8ターボに6MTと4ATが組み合わされました。デザインはジウジアーロのイタルデザイン。大人4人が乗れるラグジュアリー&スポーティクーペです。

その3200GTをベースに、ホイールベースを220mm短くし、2シーター化したのが、今回取り上げたスパイダーです。このオープン化のデザインにピニンファリーナも加わり、エンジンは自然吸気4.3LのV8、ミッションは当時フェラーリ360などにも搭載されていた2ペダルMTを備えたモデル(グレード名はカンビオコルサ)と、6MTモデルが用意されました。このとき3200GTは絶版となり、スパイダーをクーペ化した、マセラティクーペへと移行しました。クーペからオープンが生まれ、それをまたクーペにするという、ちょっとイレギュラーな進行の中で、3大スーパースターの夢の競演が生まれたのです。

マセラティスパイダー  リア

トランクの容量は300L。ゴルフバッグが2積めるほどですから、2人乗りとしては十分なサイズです。またシートの後ろ、ロールバーの間ににも鍵付きのボックスがあり、小物はそこにも入れておけます

私の世代で言ったら、マイケルジャクソンとマドンナとプリンスの3人が、ライヴで競演したようなもの。まさに歴史的な一台と言えるのではないでしょうか。ただしこの時「え!? なんでこの曲もやってくんなかったの?」的な、ちょっとだけ残念なこともありました。残念、といってもほとんどの人にはどうでもいい話ですけど。個人的には3200の細長いタレ目なリアライト、好きだったんですけど、フツーのライトになっちゃんたんですよね……。

デビューしてから10年が経ち、さすがに現在は1000万円近くダウンしています。しかしこれに匹敵する歴史的な競演は、この10年間、見あたりません。

次ページで、マセラティスパイダーの魅力をさらに探っていきましょう。