屋上庭園と3種類の構造
「表参道ヒルズ」は上部3層に、ケヤキ並木を借景にする高級レジデンス「表参道ヒルズゼルコバテラス」を配置した。緑の一体化を目指した安藤忠雄氏は、屋上庭園に力を注いだ。そのせいだろうか。高級マンションの定番ともいえる内廊下を、このマンションでは採用していない。開放廊下は幅こそ広くはないものの、玉砂利を埋め込んだ床面や屋外側の壁に入れた室外機の収め方などは「一般的にあまり手をかけないところ」と思えない仕上がりである。神宮前を一望できるこの場所を単なる通路とは捉えなかったようだ。
また、「日本一の免震構造を作ろうとした」安藤氏は、商業フロアと住宅フロアの間にアイソレーター(免震装置)をはさみ、中間免震構造とした。免震ピットから上部は、両側2列が宙に浮いている状態となっているため、補強のための鉄骨ブレース材を組み込んでいる。それが画像の通り、非常に存在感のある斜め支柱となった。