溝規制のバックスピン量への影響とは?
2010年から施行されているクラブフェースの溝に対する規制。これによって、いわゆる角溝と呼ばれるような切り立った角をもつスコアラインを入れることが出来なくなりました。これはアイアン、特にウェッジを用いたショットでのスピン量を規制するためのものです。クラブフェースに鋭い溝を設けたウェッジは、強烈なバックスピンをかけることが可能になります。
一般的に、ラフからのショットでは、フェース面に芝が挟まるため、フェアウェイからのショットに比べスピンがかかりにくいという特徴があります。そのため、フライヤーと呼ばれる飛びすぎのミスが出たり、グリーンにオンしてからのランが多くなったりし、距離のコントロールは難しくなるのですが、スピン性能の高いウェッジを使うと、ラフからでもかなりバックスピンをかけてボールをコントロールしやすくなります。それは、フェアではないということで、溝の規制が生まれたというわけです。
既にゴルフメーカーでは、規制値内でよりスピン量を増やす努力が行われ、適合溝でありながらスピン量を増したモデルを発売しているところもあります。
また、ツアープロの中には、スピンをかけることが難しくなったため、大きなロフトのウェッジでより高いボールを打つようにするなど、対応する選手も少なくないようです。
しかし、一般的なゴルファーは、あまりスピン量について大きな関心を払っていないように見えます。2008年に施行された、フェース面の反発係数の規制に関してはドライバーの飛距離が落ちるということで、かなり話題になったものですが…。
これは、一般的なアマチュアゴルファーが、スピンを積極的にかけていないためかもしれません。実際に、バックスピンがかかることなどほとんどないというゴルファーも多いのではないでしょうか?
アベレージゴルファーが、ほとんどバックスピンをかけていないというのは、確かに事実かもしれません。しかし、それはクラブやスイングのせいというよりも、使用しているボールによるところが大きいかもしれません。実際のところ、クラブよりも技術よりも、バックスピン量に大きく影響を与えるのが、ボールの選択なのです。
強いバックスピンによって、ボールにブレーキがかかるのは本当に気持ちの良いショットです。バックスピンによって、落下地点からボールが戻ったりすると、ピンから離れてもなんとなく優越感を覚える方も多いはず。
そうしたショットは、ほとんどの場合、スピン系と呼ばれているボールによって生まれています。対してディスタンス系と呼ばれている飛距離重視型のボールでは、十分なバックスピンが得られません。つまり、ボールの選択を工夫することで、そうしたショットを実現する機会が増えるかもしれません。
今回は、実際にボールのスピン量を計測することによって、ボールがどのくらいバックスピン量に影響を与えるかを紹介してみたいと思います。