オーナー住宅買取再生事業を展開
まず最初は、戸建て住宅最大手の積水ハウスの取り組みから。積水ハウスでは2007年からオーナー住宅買取再生事業「エバーループ」をスタートし、実績を積み重ねています。これは建築後20年から30年経過した建物を、同社がオーナーから買い取り、大幅なリニューアルを実施した上で、新たなオーナーに提供するという仕組みです。特徴はいくつかあるのですが、まずは建物自体について。リニューアル工事は、通常のリフォームの範囲を大きく超えた規模で実施されます。例えば、基礎と躯体を構成する鉄骨部材だけを残し(もちろんその安全性や耐久性を確認)、外壁材や屋根材、内装材、設備を全てリニューアルするケースもあります。
20年~30年前に建てられた住宅ですと、間取りや開口部の取り方は、現在の住宅ニーズと大きく異なっています。例えば、古い住宅ですと玄関スペースに階段が設置されることが多かったですが、現在はリビング空間に階段スペースを設けることが多く、そのような変更も行われれます。
もう一つの特徴が、新旧オーナーのメリットについてです。旧オーナーは、住宅を売却する際、積水ハウスに売却することで、一般市場よりも有利な価格で売却することが可能です。通常、住宅(土地も含めた)は築後20年もすると、建物価格はゼロとされ、価値は土地代だけとされます。
新築に比べて値頃感があるのも魅力
しかし、独自の査定システムを導入することで(前回の『スムストック査定』をイメージするとわかりやすいと思います)、一般市場より上乗せした価格を実現します。これが、旧オーナーの大きなメリットといえます。エバーループ物件の内部空間。最近の住宅ニーズを反映させた設えに変更されている。キッチンは、子育てに配慮した対面型に
もう一つ、新オーナーに魅力なのが立地です。積水ハウスの住宅が建てられているエリアは、例えば郊外の大型宅地など、自然環境に優れ、子育てをするのに良好な立地にあることが多いのです。そうした立地にある建物を、新築並のスペックで土地とセットで取得できるのは、新築にはないお得感があります。
このようなスキームは、例えばミサワホームの「ホームエバー」などがあり、近年少しずつ行われるようになりました。次のページでは、もう一つ特徴的なストック住宅の取り組みをご紹介します。