ショートメジャー式で採寸
ショートメジャー式で採寸してくれました。立体的に採寸できるのが特長
前回はテーラー・ラト(tailor LATO)のオーダースーツ全般について紹介しましたが、今回は実際にスーツを一着オーダーしてみました。選んだのはマシンメイドによるフルオーダー・ベーシックです。もちろん型紙を作ってくれて、仮縫いまで行うフルオーダーメイドです。
採寸はオーナーでありカッターでもある波多野光平さんが担当してくれました。ドレスシャツの上から採寸してくれたのですが、いままで見たこともない道具が出てきました! なんでもショートメジャー式の採寸に必要なものらしく、「鳩型採寸器」と呼ぶそうです。まるで西洋甲冑のような金属製のこの道具を脇の下に入れて、そこに付いているメジャーで首周りや肩周りなどたくさんの箇所を採寸してくれました。ロングメジャー式に比べてショートメジャー式は採寸する箇所がずいぶん多いようです。
ショートメジャー式について波多野さんに伺ったところ、「この採寸器を使えば立体的に計測できるので、身体の特徴を把握しやすいメリットがあります。採寸した数値をもとにアームホールや肩の傾斜などの特徴を型紙に反映しやすくなるわけです」とのこと。実際に型紙も製作される方なので説得力があります。
現在どのくらいのテーラーがこの採寸法を採用しているかはわかりませんが、波多野さんのご実家でもある京都のテーラー・ハタノも、やはりショートメジャー式だそうです。
服地は話題のクールエフェクト
エルメネジルド・ゼニアのクールエフェクトを選びました。服地の表面温度を約10度下げる効果があります
シングルブレストの3つボタン中1つ掛け、サイドベンツ仕様で、襟のゴージラインは極端に高くなく、ラペル幅もやや広めにしてもらいました。裏地は真冬以外のスリーシーズン着られるように背抜き仕様を指定。
そして選んだ服地は、明るめのネイビーのエルメネジルド・ゼニアのCOOL EFFECT(クールエフェクト)。近頃話題の服地ですね。
この服地は直径約17ミクロンのオーストラリア産メリノウールで織り上げられ、染めと仕上げの段階で特別なトリートメントが施されています。
これにより、太陽光があたると生地の表面温度を約10度下げる効果があります。表面だけでなくスーツの内側(シャツとの間)の温度も下げてくれます。さすがに猛暑日にはおすすめしませんが、サマーシーズンでも快適に着られるスーツ地なんです。
次のページでは完成したスーツをご紹介します。