エジプトでのスタミナ食、仏教での禁食……ニンニクの歴史
古くから洋の東西を問わず、スタミナ食として活用されてきたニンニク
古代エジプトでは、ピラミッド建造の肉体労働者の間では強壮食品とされ、古代ローマ時代には戦闘士などの食べ物とされていたとか。
日本では、中国・朝鮮半島経由で弥生時代に到来したといわれ、『古事記』や『日本書紀』で、日本武尊(ヤマトタケル)が、ニンニクで山の神を退治したという伝説に登場しています。
薬用や手当食とされる一方で、その激しい香りから忌み嫌われる存在でもあったようです。特に日本では、仏教の影響で、禅宗などでは神経を高ぶらせるので煩悩を払いにくいとされ、「五葷(においのする野菜=ネギ、ラッキョウ、ニンニク、アサツキ、ニラ)の一つとして禁食されていました。門前には「不許葷辛酒肉入山門」(葷辛酒肉、山門に入るを許さず)の文字が刻まれている石が見られます。
しかしその一方でニンニクの語源は、「忍辱(にんにく)」という仏教用語で、一部の僧の中には「薬用・強壮のために強烈なにおいを耐え忍んで食べた」ことに由来するという説もあります。
このように古代からニンニクのスタミナパワーは世界各国で知られていました。現代になり、ニンニクのどのような成分にどのような作用があるのかということが分かってきました。