資産運用

外貨預金と国際分散投資は似て非なるもの

海外でお金を運用しようとする人にとって外貨預金は気軽な入り口です。しかし、外貨預金に留まっていては、海外資産の本当の恩恵にあずかることはできません。外貨預金で入門しても、次は国際分散投資に進級して、資産を大きく増やしてください。キーワードは株と不動産なり。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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日本の国内だけで資産運用をしていたのではお金は増えないのではないか?と多くの人が気づいてきました。私たちは国境を超えて海外でも自分のお金を働かせる時代に来ているのです。かつての欧州人や米国人がそうであったように!

外貨預金は入門編

多くの人は外貨預金をすることから海外資産を経験し始めます。それも悪くないアプローチですが、外貨預金に留まっていては本当の資産運用になりません。

なぜなら、外貨預金は円安になる方向に賭けている投資だからです。もっと円高になる可能性もあるのに、円安にならなければ儲からない方法でお金を運用していたら、それはリスクをコントロールしていることになりません。為替リスクを野放しにしているといった方が正確でしょう。

為替レートの行方は誰も知らない

円安になることだけを期待して海外に投資をしてはいけません。為替レートの将来の行方は実はだれも知らないからです。では、どうしたら円安にならなくても儲かる海外投資ができるのでしょうか?それは為替レートを越える収益を追求することです。

為替レートの変動幅は過去2年間でプラスマイナス10%の範囲内にありました。2年で20%とは年率に直せば4.8%ですから、少なくともそれ以上の収益率を期待できる資産に投資しなければ、為替リスクに負けてしまう確率が50%はあることになります。かなりバクチに近い世界です。

債券に投資して10%の円高に見舞われたら投資結果はどうなったでしょうか?先進国債券の円建て利回りは、この2年間の利回りはで2%の収益ですが、為替で10%負ければ通算で8%の損失でした。

では、海外の何に投資したらよいのか?為替リスクに負けないリターンを生み出す資産とは何か?それは「株と不動産」です!

株と不動産なら為替に勝てる

株と不動産は債券よりも大きなリターンが期待できます。たとえば、海外の先進国株式はこの2年間で20%の騰落率(MSCI世界株式コクサイ)でしたから、10%の円高を食らっても損はしていません。海外不動産に投資する海外リート(REIT)では現地通貨ベースで、この2年間で43%の上昇でした。為替差損を差し引いて余りある収益を築けました。

為替リスクに負けない資産に投資することこそが、世界分散投資であることを分かってください。外貨預金を卒業して国際分散投資に進級しましょう。

株価変動リスクは長期で逓減する

ここで、株と不動産の期待収益率が高いということは、リスクも高いということであり投資元本が減損して、為替と株価とダブルで損をする可能性があるのではないか?という疑問がわく人もいると思います。短期的にはその通りなのですが、通貨と株との資産性の違いに気がつく必要があります。

為替リスクは時間をかけても逓減することがありませんが、株価や不動産価格については長期間保有することで変動率は大きく逓減します(平均への回帰)。為替リスクに関しては単年度のリスクと長期間のリスクに差はありませんが、株価変動のリスクは単年度と長期間ではまったく異なってきます(時間をかけると株価変動リスクは小さくなります)。この時間とリスクの関係の違いに着目して、為替リスクを克服するリターンを追求するのが国際分散投資なのです。

ですから、国際分散と長期投資はいつもセットで実行される必要があるのです。

いかがでしょうか。適切な海外分散投資は、収益率に支えられて為替リスクを克服する、というシナリオを納得してもらえたでしょうか?今は円高で株価低迷ですが、こんなときこそ国際分散投資を始めるチャンスなのです!

■関連記事:「国際分散投資、正しい5つのステップ」
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