家庭で食肉が冷蔵保存できる期間の目安
私たちが、食べ物の安全性を判断する目安の一つは、食品の期限表示でしょう。消費期限や賞味期限は、製造または加工を行った営業者、輸入食品は輸入業者が設定します。ハム、ソーセージなどの加工された食肉は加工業者に期限表示の義務があります。表示される期限は、安全および衛生が確保されるように、揮発性塩基態窒素や、官能検査、生菌数の測定、pH値の測定などがあります。期限の設定は、基本的にはそれぞれの加工業者等が、こうした試験結果に基づいて行うべきなのですが、試験等できない場合は、「期限表示のための試験方法ガイドライン」に基づいて設定されることもあります。
スーパーなどでは、概ね「10℃以下で保存」した場合にこの期間は安全という「消費期限」が示されています。
保存期間の目安
酸化したり、水分や芳香成分が失われると、肉の風味が損なわれますから、密閉容器やラップフィルムなどで、できるだけ酸化や水分の蒸発を防ぐことが有効です。
ブロック状態は比較的長くもち、表面積が増えるほど短くなり、挽き肉は最も短くなります。表を目安に、購入したらなるべく早く調理して、食べるようにしましょう。
食肉は中まで火が通るよう十分加熱を
肉の生食の危険性は基準が形骸化しまっている今は1ページ目の通りですが、加熱が不十分な場合は食中毒のリスクはあります。腸管出血性大腸菌は、「75℃で1分以上加熱すると死滅する」と考えられています。しかし、ひき肉で作るハンバーグなどは、内部に菌が入り込みやすく、また空気が含まれている分、火も通り難く、表面だけが焦げて中心は生焼けということにもなりやすいので、十分注意することが大切です。他の食材への影響も! 生肉調理時の注意点
また、生肉の調理に使ったまな板や包丁、箸、手などを通じて、野菜などの生食用の食材に細菌が付着してしまうことがあります。魚介類・肉類と、野菜・果物などとは、まな板などの調理器具を別にする、使った器具は熱湯やアルコールで消毒する、食材を扱うごとに石けんなどで手を洗うようにする、などの工夫も習慣づけるようにしましょう。食肉の安全性は、見た目だけでは素人にはわりかません。しかし、外食や販売店の選択する際には、衛生管理や加熱具合を適切にしているかどうか、また聞けば真摯に説明をしてくれるかどうかなども安全性を確認する目安になります。もちろん家庭での調理の際に、自分自身が気をつけたいものです。
法律等でいくら厳しい罰則を作ったとしても、最後の砦は各々の工程に携わる一人ひとりが、きちんとルールを守れるかどうか……。生産現場から流通や飲食店までの人たちがルールを守ることはもちろんのことながら、法律の形骸化などでのリスクが報じられた今、私たち消費者も、安全を他人任せにしない自衛意識を持つことが大切なのことなのかもしれません。
参考/
・栄養教諭のための食肉の知識
・ちょっと待って!お肉の生食(東京都福祉保健局)
・全国食肉事業協同組合連合会
・新装版「こつ」の科学
・誰でもなる!?食中毒を防ぐ調理を考える
・新食品・栄養化学シリーズ 食品学各論
・お肉の上手な保存と下ごしらえ(財団法人日本食肉消費総合センター)
その他