鮮度とは別問題? 食品と食中毒の関係
手軽に買えるおいしいお肉。残念ながら鮮度と安全性は必ずしも一致しないことがあるのです
今問題となっているO-111も含め、食中毒の原因菌は、と畜・解体する際に細心の注意をして処理しても、作業工程の間に細菌が肉に移ってしまうことがあります。鮮度がいくらよくても、細菌が付着すると食中毒をおこす可能性が高くなってしまうのです。
食肉に限らず、食べ物はもともと動物や植物という生き物。細菌等のリスクを「完全に0にすることが可能」と言い切れるものではないと思います。(もちろん提供する側は、限りなくゼロにするための取り組みをすることが前提ですが。)
厚労省の衛星基準は形骸化……消費者にできることは?
厚生労働省は、1998年に、「生食用食肉」衛生基準を定めました。詳しくは、生食用食肉等の安全性確保についてをご覧ください。厚生労働省の衛生基準を守って処理すれば、飲食店は「生食用」と表示し提供できますが、現状、牛肉については国内と畜場から生食用としての出荷実績はないとされています。また、鶏肉は生食用の衛生基準がなく、牛肉、鶏肉などは、生で食べると食中毒になる可能性があります。
結局、「生食用食肉」の衛生基準は、現実には役に立っていないことなどが明らかになりました。「生食用食肉」としての基準をクリアしたとしても、やはり食中毒リスクはゼロではありません。厚生労働省や各自治体では「肉の生食は避けるように」という注意喚起はこれまでもサイト上では見受けられましたが、わかりやすい解説をするなど、より積極的な取り組みをすべきだったと思います。
今回の牛肉生食による食中毒によって改めてわかったことは、消費者の多くは、ユッケなどは「生食用」の基準をクリアしたものだと考えていたということでしょう。中には、危険が報じられても、やはりたまにはユッケなどの生肉を食べたいという人もいると思います。私たち消費者も、食肉についての正しい知識を持っておく必要があるのかもしません。