史上最大の地殻変動によるカーナビへの影響は?

3月11日の東日本大震災は、東北の太平洋岸を中心に、各地に大きな被害を及ぼしたばかりか、大きな地殻変動も起きている。国土地理院の調査によると、牡鹿半島が約5.3メートルも東南東方向に移動し、約1.2メートル沈降したという。千葉県銚子市でも、17センチの移動が観測されたそうだ。

そのとき気になったのが、カーナビが正常に動くのかということ。というのも1993年の釧路沖地震の直後に釧路に出かけた時、レンタカーに付いていたカーナビの自車マークが、地図上の道からずれて表示されていたのを経験したからだ。そこで、カーナビの自車位置表示の制度に定評があるカロッツェリアと、カロッツェリアのカーナビに地図データを供給しているインクリメントPの担当者に、話を聞いた。

マップマッチングが地殻のズレを吸収

「結論からいうと、カーナビの動作には影響ありません」と断言するのは、ナビゲーションの企画を担当している矢野さん。というのも「国土地理院で確認されているのは最大で約5.3メートル。それくらいの移動距離であれば、十分にマップマッチングで吸収できる」のだそうだ。

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パイオニア ナビゲーション市販企画部の矢野健一郎氏

「たとえば、名古屋が有名ですが、幅員が100メートル程度の道路があります。これが最大だとして、通常でも、10数メートルの幅員の道路はいっぱいあります。つまり、クルマは10メートル程度の幅の中で動いているわけです。カーナビの道路の情報は、そのような幅員がある中で、道路の中央を指し示すように作っています。わかりやすくいうと、道路中央から左右に5メートルとか10メートルの余裕を持ち、走行中は道路のどこかにいるはずであることを推定してマップマッチングを行っていますから、5.3メートル程度の地殻変動であれば、マップマッチングの動作にはまったく影響ありません。」とのことだ。

ーカロッツェリアのカーナビは、高さデータも収録しているはずですが、地面が沈下した影響は?
「高さデータを収録しているのは部分的なもので、1メートル程度の沈下であれば、まったく問題ありません。」

ー仮設の橋を迂回するような状況では?
「その場合、本来はまっすぐな道だったところを、右折&左折して仮設の橋に入ることになりますから、すぐ近くに別の道路があった時などに、別の道にマッチングするケースがあるかもしれません。ただし、元の道に戻って少し走れば修正できると思います。」

GPSのみで測位を行うナビはずれる可能性も

ーでは、釧路沖地震のときに借りたレンタカーのカーナビは、なぜずれたんでしょう。
「そのカーナビが、どこのメーカーのものかわかりませんので、確実なことはいえませんが、マップマッチングの方法は各社異なります。またマップマッチングが無く、GPSだけで測位を行うカーナビもあります。そんなカーナビなら、GPSの位置情報を地図上に表示するわけですから、地殻変動によって実際の道路と地図上の道路の位置がずれていれば、自車マークから道路から外れてしまう可能性はありますね。」

ーということは、GPSだけで測位するスマートフォンのナビアプリやPNDは、ずれる可能性もある、と。
「実際に確かめたわけではありませんが、その可能性は十分にあります。とくにGPSが正確なほど、きれいにずれる可能性はあります。その点では、マップマッチングを搭載したカーナビのほうが安心でしょうね。カロッツェリアのカーナビは、PNDのエアーナビから最上級のサイバーナビまで、マップマッチングを搭載していますから、被災地でも安心してご利用いただけます。」