大きさを感じさせない軽快感
ラゲッジは後席着座時でも十分に広い。4:2:4の分割可倒式により容易に拡大できるため、ワゴン的に使える。シートは戻す際にやや力を要するが、トノカバーの脱着がラクなのには好感が持てた。パーセルレールは先代から装備する荷室固定用レール。
試乗したのは、3.0Lの直列6気筒DOHCツインターボを積むxDrive35i。8速ATとの組み合わせもニュースだから、かなりスムーズな変速を味わえる。走り出しからボディが軽く感じるのもBMWらしい美点で、重そうな走りというSUVに抱くイメージは微塵も感じさせない。コーナーが連続する首都高を走っても面白いように向きを変えていく。
さらに新型X3には、アクティブステアリングは装備されず、バリアブルスポーツステアリングと呼ぶ機構がxDrive35iに標準装備されている。中低速域でステアリングを大きく切り込んだ際にタイヤの切れ角を増幅させるというが、初期のアクティブステアリングのように良くも悪くも新機構の存在を感じさせるものではなく、フィーリングは自然そのものだ。言われなければ分からないかもしれない。ダンパーやエンジンレスポンスのセッティングをノーマル、スポーツ、スポーツ+から選べるダイナミックダンピングコントロールもオプションで用意される。スポーツではエンジンレスポンスが高まり足が引き締まる。スポーツ+ではDSCがカットされ、ステアリングもグッと重くなるのが実感できる。
細かい点は気になるが完成度は随一
エンジンは3.0Lのシルキー6、ツインパワーターボで、ダブルVANOS バリアブル・カムシャフト・コントロール付。最高出力は306ps/5800rpm、最大トルクは400Nm/1200-5000rpm。先代のxDrive30iと比べると約45%燃費も向上し、10・15モード燃費は12.0km/Lを達成
気になったのが乗り心地で、とくにノーマルだととくに60~70km/hくらいまでの低中速域で細かいピッチングに見舞われてしまう。ランフラットタイヤの特性かと思ったが、BMWの最近のランフラットタイヤは乗り心地も改善されているだけに、判断が難しいところだ。個体差であることを願いたいくらいの落ち着きのなさは、プレミアムを標榜するには少し首をかしげたくなる。スポーツモードに変えると引き締まるが、大小を問わず段差を乗り越える際の衝撃も大きくなる。ただし、揺れの収束はノーマルよりもスポーツモードの方が早く感じた。スポーツ+だと硬くなり過ぎてしまう。
他にも回生ブレーキや電動パワステ、アイドリングストップ機構を備えるなど、エコ方面も抜かりはない。内・外装の質感や新しさ満点のスタイリング、期待を裏切らないハンドリング、装備の充実とどれをとってもプレミアムSUVにおいてトップクラスなのは間違いない。もうX5に無理して乗らなくてもと思わせるX3の出来だから、X5も予算内に収まる人にもぜひ選択肢に入れて欲しい完成度を備えている。