「素材と陰影」が織りなす空間の美学、そして心象風景
脚の支柱といえば、そのものズバリ!が、その次にあるテーブル「Twilight Time」。エキスパンドメタルの脚支柱3本とガラスの天板(もうひとつのテーブルは、人造石の天板)のみのテーブル。
ここで、とくに注視してほしいのが天板とメタルのジョイント部分。
まるで王冠かティアラのようなメタルの端部がひとつひとつガラスに差し込まれ固定されている。通常は隠れて見えないテーブルの天板と脚の取付け部分がもっとも美しく、繊細。と、同時に職人さん泣かせのディテール(詳細部分)だ。
当時このテーブルの発表会場のひとつは、カッシーナジャパン(イタリア家具メーカー)のショールーム。あまりに華奢なので「大丈夫なの?」と触ると少し揺れて、「あっ!……」と、周囲を見渡した想いである。 そして感動ものが、陰影。床には「陰影」と「実物」が重なり、モノトーンの構成がまるで抽象絵画のように描かれている。
まだまだ一連のエキスパンドメタル家具が続く。
サイドテーブル付き椅子「Big Hal」(手前)D:倉俣史朗(1987年)、軽快な椅子「Sing Sing Sing」(奥)D:倉俣史朗(1985年) (● 画像をクリックすると拡大します)(c)NAO ISHIKAWA
大柄と細かい柄のエキスパンドメタルの背をもつ椅子がテーブルを挟んで配置されている。
「エキスパンドメタル背の椅子」(手前)、テーブル「Hal」 D:倉俣史朗(1988年)、アームなし椅子「Hal2」(奥)D:倉俣史朗(1987年) (● 画像をクリックすると拡大します)(c)NAO ISHIKAWA