仮設住宅といっても様々な条件に対応
タイプや大きさも様々。単身者用(19.8平方メートル程度)から、小家族用(2~3人、29.7平方メートル程度、大家族用(4人以上、39.6平方メートル程度)などがあり、平均基準は1戸当たり29.7平方メートル。居住用のほか、福祉施設や集会所などの建設実績もあるそうです。居室内は玄関、キッチンバス、トイレなどのほか 高齢者に配慮した手すりやバリアフリーなどが標準仕様。また建設地の気象などに配慮して寒冷地対策、積雪対策、強風対策などを施すそうです。
一概に被災者といっても家族構成やライフスタイルは様々ですから、最低限、それぞれの入居者ニーズに対応できるしつらえになっているのです。中でも今回被災したのは寒さ厳しい東北エリア。断熱性への配慮は必須ですが、そのあたりの対応も行われます。
海外でも活躍する日本の仮設住宅!
ちなみに、仮設住宅の供給はわが国だけにとどまりません。トルコや台湾、中国など、多くの海外における災害時にも供給された実績があります。これは、日本のプレハブ住宅技術のすごいところを表していると、私は思います。というのは、海外には災害時の「仮設住宅」などという考え方はほとんどないからです。あえて言えばテントくらいでしょうか。それに対して、災害時でもある一定の住性能を持つ建物を建てて対応するというわけですから、日本の災害時の仮設住宅のレベルは間違いなく世界トップクラスです。
話を国内の仮設住宅事情に戻すと、阪神淡路大震災以降注目されるようになったのは、コミュニティーのあり方です。阪神淡路当時はくじ引きで抽選が行われていましたから、入居した「仮設住宅村」ではコミュニティー形成がうまくいきませんでした。
居住者が従来住んでいた地域がバラバラだったため、特に高齢者の孤独死などが起こり問題になりました。その反省から、近年は同じコミュニティー同士で居住できるよう仮設住宅を配置するなどの配慮も行われるようになりました。
まあ、これは供給者側(ハウスメーカー)の問題ではなく、運営者側(自治体)の責任でしょうが。仮設住宅について、中にはあまり言いイメージをお持ちでない方もいらっしゃると思いますので、念のため言及させていただきました。
なお、仮設住宅はプレハブ系ハウスメーカーが中心となる支援となりますが、こうした大規模災害では他の工法のハウスメーカーや工務店といった住宅業界、さらにはそれを含めた建設業界全体が支援に乗り出します。
具体的には、プレハブ建築業界の上位団体、(社)住宅生産団体連合会も対策本部を立ち上げ、業界を上げて住宅復興に関する支援に乗り出しています。
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