ハウスメーカー・工務店/住宅メーカー・ハウスメーカー比較[工法・耐震・デザイン]

災害復興への希望の光 仮設住宅について

東日本大震災に関する報道では連日、被害の状況はもちろん原発事故など、重苦しいニュースばかりが伝えられています。そんな中、数少ない明るいニュースの一つは仮設住宅の建設が始まったこと。そこで今回はその仮設住宅についてフィーチャーします。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

東日本大震災が発生して2週間あまり。岩手県陸前高田市では、早くも応急仮設住宅(仮設住宅)の建設がスタートしました。ご自宅をなくされ避難所生活を余儀なくされている被災者の方にとって、仮設住宅の入居は生活の立て直しに向けた明るい出来事となるはずです。この仮設住宅はハウスメーカーと大いに関係していますので、ここで詳しく見てみたいと思います。

プレハブ工場

プレハブハウスメーカーの生産ライン。工場で部資材を高い精度で生産することで現場施工をスピーディーにする。この技術は仮設住宅にも生かされている(写真は積水ハウスの関東工場)

仮設住宅の供給は、国や各自治体から(社)プレハブ建築協会という団体に依頼されて実施されます。プレハブ建築協会というのは、主にプレハブ系ハウスメーカーが主体となった組織。ですから、その供給の中核となるのはプレハブ系メーカーです。

プレハブというのは、「工業化」のことを言います。工場で柱や梁など主要部資材を生産。それにより、部資材の高い精度の生産はもちろん、現場での施工もスピード化できるというのが工業化の目的であり、それがプレハブ住宅の大きな特徴の一つとなっています。

そうした特徴は、我が国の住宅性能の向上に大きく貢献し、住宅業界の発展をリードしてきました(くわしくはこちらをご参照ください)。そのプレハブ住宅のエッセンスが凝縮されているのが仮設住宅なのです。

全都道府県と仮設住宅供給に関する協定を締結

さて、今回のように震災後早くから仮設住宅が供給できるのは、日頃から協会の関係者と行政が災害時を想定して連絡を取り合ってきたから。具体的には、協会では全ての都道府県と災害時に仮設住宅を供給するための協定を結んでいて、例えば協会関係者は各自治体の防災訓練などにも参加しているそうです。

仮設住宅実例

阪神淡路大震災当時に神戸市中央区六甲アイランドに建てられた仮設住宅(写真提供=プレハブ建築協会)

ハウスメーカーは、特に今回のような大規模災害の場合、それぞれが持つ工場の生産ラインから仮設住宅用の部資材生産を実施。また、施工にあたっても通常の住宅建設から人員を割いて、主体的な役割を担うことが多いようです。

有名になったのは、やはり阪神淡路大震災の時でしょう。このときは4万戸以上の仮設住宅が作られました。私は、この震災でボランティアを経験しましたが、私が神戸市の避難場所にいたときが、ちょうど仮設住宅が引き渡される最初の頃でした。

当時はくじ引きで仮設住宅の入居が抽選で決まっていました。抽選で当たった方とそうでない方の悲喜こもごもな様子を私は目にしました。仮設住宅といえども住宅は住宅。引っ越しの手伝いなどを通じて、やはり住宅は人の暮らしの大切な要素なのだと感じた貴重な体験でした。

避難所暮らしというのは、寒さ暑さなどはもちろん、共同生活でありプライバシーの問題など大変なのです。だから仮設住宅に期待が集まるのですが、具体的な内容を次のページで見てみましょう。
  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます