災害・緊急時でも、できるだけ通常に近い食事を摂るのが理想的ですがなかなか難しいものです。症状の深刻な悪化を予防する食べ方が重要になります。2型糖尿病でも、中年~高齢者では糖尿病性昏睡に陥る可能性が高めになるので注意しましょう。

非常時に注意すべき糖尿病の症状

血糖値

血糖値の管理は大切。でも緊急時はなかなか難しい…

緊急時には低血糖を防ぐこと、また極度の高血糖を予防することが大切です。これらの症状は、糖尿病性昏睡など深刻な事態を引き起こす可能性があります。まずは低血糖や高血糖値の症状も把握しておくことが大切。友人や家族にも症状と対処法を伝えておきましょう。自覚症状が出ないこともあります。

■ 低血糖の症状
ふらつき、冷や汗、だるさ・脱力感、動機、怒りやすい、頭の混乱、目のかすみ、頭痛など

■ 高血糖の症状
食事をしても空腹感、喉の渇き、尿の回数が増える、疲労感、眠気、目のかすみ、皮膚のかゆみ、傷が治りにくい、風邪引きやすいなど

非常時・緊急時の糖尿病食のポイント

1型糖尿病の場合、食事による対策は現実的ではなくインスリンが必要です。2型糖尿病の場合は、ある程度は食事での血糖値管理が可能です。ここでは2型糖尿病についてお話します。服薬・インスリンが十分確保出来ない時の緊急時の食事案などを示していますが、個人の症状は異なりますので必ず前もって医師等に相談して下さい。

■食事(特に炭水化物)は大量にいっぺんに食べず分割してみる
例えば大きなおにぎりと甘い飲み物がペットボトルで支給された場合、それらを一気に摂取すると高血糖値になりやすくなります。避難所での生活であっても、こういった食生活を繰り返す場合は特に注意が必要。日頃から自分の糖代謝力(炭水化物の摂取量と血糖値の上下の関係)を確認している人は、代謝力を意識して分割して食べるとよいでしょう。

糖の代謝力が分からない人は、一度に食べる量を支給された分の半分くらいに抑え、3~5時間後に残りの半分を食べるなど工夫してみましょう。取り分けておく場合は衛生状態に十分注意して下さい。飲料も同じです。ペットボトルの清涼飲料水は一気に飲み干すのではなく分割して飲むよう工夫しましょう。

■可能ならたんぱく質・食物繊維の多い食品を加える

ナッツ

ナッツ類もタンパク源

難しいかもしれませんが、たんぱく質の多い食品(肉、魚、卵、チーズ、牛乳、豆)、食物繊維の多い食品(野菜・豆など)などを毎回の食事に加えられるとベストです。たんぱく質や食物繊維を加えると、満腹・満足感が増え、一度に食べる炭水化物を抑えやすくなります。緊急時は炭水化物の摂取が多くなりやすいと思いますが、色々な食品(たんぱく質の多いもの、食物繊維が多いものなど)を組み合わせることで血糖値の管理がしやすくなります。

■塩分の高いものは控える
血圧が高めだったり、腎臓が十分に機能していない人もいるかもしれません。基本的に塩分の高いものは控えるようにしましょう。お弁当などが支給された場合は、漬物や佃煮などは残したほうがよいでしょう。

■インスリン・服薬の特徴を理解しておく
日頃からインスリンや服薬の特性をしっかり理解しておくことが大切。非常時は食事の量・頻度・時間などが通常時とは同じとは限りません。食事は通常通りではないのに、日頃と同じように薬を使うと、低血糖に陥る場合もあれば、高血糖になる危険も出てくると思います。例えばインスリン・服薬(一部の種類)を通常通りに使い、食事ができなかったり、食事の時間がずれたりすると低血糖になる可能性があります。

薬が十分で無い時にどうするのか、食事が1日に一度しかできない場合は薬のタイミングと量はどうするべきなのか、医師に相談して緊急時の計画を立てておきましょう。

■非常用の糖尿病食を準備しておく
糖尿病向けの非常食の準備は一般的な対応策と同じよいでしょう。詳しくはこちら>災害・緊急対策に…栄養学的にお奨めしたい非常食一覧

可能ならば、緊急時の血糖値管理対策として、炭水化物(米、パン、麺)とたんぱく質(肉、魚、豆、乳製品など)を同時に食べるようにしましょう。服薬・インスリンが十分でない場合は炭水化物の摂取を通常時より抑えることも検討してみましょう。上記で述べたように一気に食べるのではなく分割するのもよいでしょう。

高血圧・腎臓病がある場合は、缶詰・レトルト食品等も低塩の物を選びましょう。普段はインスリン・服薬を調整するのではなく、とにかく食事制限をするようにばかり言われているかもしれませんが、その逆も可能です。食事を薬に合わせるのではなく、食事にインスリン・服薬を合わせる方法を知っておくことも大切です。非常袋には低血糖対策アイテムであるブドウ糖などをを入れておきましょう。インスリンが必要な人は日頃からきちんと緊急時対策をしておきましょう。

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