血液から作られる「血液製剤」の種類
現在、日本で輸血に使われている血液は、日本国内での献血によって成り立っています。血液のパックはどれも同じに見えるかもしれませんが、さまざまな種類があります。様々な血液製剤があります。目的によって使用が異なります
■赤血球濃厚液
全血献血由来血液をフィルターを通して、白血球を除き、遠心器で赤血球だけを取り出して、赤血球保存液(MAP液)の中で保存します。最近は、放射線を照射しています。この製剤は採血してから21日以内に使わないといけません。
■洗浄赤血球
赤血球濃厚液を材料にして、赤血球を生理食塩液で洗浄して保存します。
洗浄しているため純粋な赤血球だけですが、製造してから24時間しかもちません。
■解凍赤血球濃厚液
赤血球濃厚液を材料に、グリセリンを含む凍結しても傷まない保護液を入れて凍結保存します。解凍後、赤血球を洗浄して製剤として使います。採血後凍結して10年もちますが、解凍して12時間以内に使用しないといけません。
■合成血
O型の赤血球濃厚液を生理食塩液で洗浄して、AB型新鮮凍結血漿を加えた製剤で、血液型を気にせずに使用できます。主に、ABOという血液型が違っているために赤血球が壊れる新生児の溶血性疾患に使われます。製造してから24時間以内しかもちません。
■人全血液
全血献血由来血液をフィルターにより白血球除去した製剤です。この製剤は採血してから21日以内に使わないといけません。
■濃厚血小板
成分献血で、白血球を除いて採取された血漿の中に浮遊した血小板を集めた製剤で、血小板は出血を止める働きをするのに大切な成分です。血小板が減少した病気で使用します。採血から4日間で、振った状態で保存します。血小板に対する抗体を持っている人がある場合は、HLAという白血球の血液型を合わせた血小板の製剤もありますが、これも採血から4日間です。
■新鮮凍結血漿
血液には細胞と液体の部分に分かれ、全血献血での血液をフィルターにより白血球を除いて遠心操作及び分離操作によって得られた血漿や成分献血での血漿を凍結した製剤で、血漿内には血小板との結合に必要なタンパク質が含まれています。有効期間は採血から1年間です。
■血漿分画製剤
免疫力の1つ、γグロブリン、アルブミン、血液を止める凝固因子などを集めた製剤です。それぞれ重要な働きをしています。例えば、γグロブリンは重症の感染症に対して必要です。
これらの血液製剤を成り立たせているのが、皆さんからの献血です。血液製剤の有効期限についても理解を深めていただけたと思いますので、献血は地震発生後などの緊急時のみに行うのではなく、長期的に継続してご協力いただければと思います。特に血液不足などの呼びかけがされている場合は、積極的にご協力ください。できるところから支援の輪を広げていきましょう。