スマートフォンは質の高いゲームを必要としていない?
任天堂の岩田社長と言えば、ゲーム業界でもっとも注目される人物の1人です。
岩田社長の講演はニンテンドー3DSの今後などを含めた多岐にわたるものでしたが、特に注目を集めているのはスマートフォンやソーシャルネットワークをプラットフォームとしたゲームに対する指摘でした。
岩田社長は、任天堂を含めたゲーム専用機を提供するメーカーは「お客様にどうしてもソフトの高い価値を認めていただきたい」という考えを共有できているが、スマートフォンなどのプラットフォームは「ビデオゲームソフトの高い価値を維持する動機がありません。彼らにとっては、コンテンツは誰か他の人が作るものであり、彼らのプラットフォームにより多くのソフトを集めることが目標となります。より多くの量を集められればお金が流れるのです。量こそ利益の手段であり、価値は大した意味を持たないのです。 」とし、立場の違いを強調しました。
この話だけを読むと専用ゲーム機のゲームは質が高いけど、スマートフォンやソーシャルネットワークのゲームは数ばかりで価値が低いと言ってるようにも聞こえますね。しかし、実際にゲームの質が高いか低いかというのは、あまりたいした問題ではありません。そこで議論をするのは不毛でしょう、面白いゲームもあれば、そうでないゲームもあります。それは任天堂プラットフォームにしても同じことです。
重要なポイントは、プラットフォームを運営する側が質の高いゲームを必要としているか、という点です。ここに、既存のゲームハードメーカーとの決定的な違いがあります。ちょっと分かりにくいと思いますので、スマートフォンの代表格であるiPhoneとそのメーカーのアップルを例に出して、解説してみたいと思います。
アップルは大手ゲームショップである
iPhoneにおけるアップルのゲームビジネスは、ゲームを作ることよりも、ゲームを売ることがコアとなっています。
では、アップルはどうなのか。そもそもはiPodという音楽プレイヤーをキーにして、音楽を売ることから今のビジネスモデルはスタートしました。アップルはこの時、ポータブルミュージックプレイヤーのメーカーであり、同時に、音楽配信大手となりました。ただし、別にレコード会社になったわけではないですよね。そしてハードウェアが進化するにつれて音楽だけでなく、映画や、便利なアプリケーションなども売るようになりました。ゲームも同様で、ゲーム配信大手というのがアップルの立場です。
この立場の違いが、実際にどういう形になって現れるのか、さらにつっこんでお話してみたいと思います。