鳩森八幡神社を中心に広がる商店街には
しゃれた店も増加中
東京都の指定有形民俗文化財になっている、都内最古といわれる富士塚
では、実際の街の様子を見ていきましょう。このエリアは前述した3つの緑地に囲まれた中心部が高台になっており、そこに鎮座するのが鳩森八幡神社。境内には江戸時代に流行した富士塚(富士山の形を模した塚。富士山信仰の対象)があり、古くから人が集まる場所であったことが分かります。
鳩森八幡神社周辺に広がる商店街、グリーンモール。繁華とは言い難いが、必要な店舗はおおむね揃っている
商店街はこの神社を囲むように千駄ヶ谷駅方面、明治通り方面に伸びており、最近ではしゃれた雰囲気の店も増加中。ちょっと足を伸ばせば、学生街代々木があることを思えば、懐具合、求める雰囲気に合わせて外食の楽しい街だろうと思います。一方で銭湯や築40年を超す、往時の高額マンションなども点在しており、新旧が入り混じる街であることが分かります。また、駅前、明治通り沿いから一歩入れば、非常に静かです。
トラックで売りに来ていた八百屋さん。毎週木曜日、早朝5時からの営業で、昼までには売り切れるそうだ
住むという観点では生鮮食料品店、スーパーがやや少ない気もしますが、生鮮コンビニや生協などもあり、週に1度はトラックの八百屋さんも出ます。また、新宿や渋谷に足を伸ばせば、何でも揃いますから、毎日食事を作る、買い物するという人でなければ、あまり気にならないかもしれません。
購入なら中古、
賃貸ではシングルでも12万円前後~
住宅街を歩いてみると、古い一戸建て、アパート、店舗なども残されている
これだけの環境、利便性が揃っているだけに住宅価格は分譲も賃貸もかなり高め。まず、分譲では、ところどころに古家、駐車場などは見かけるものの、まとまった土地がないため、新規の住宅供給はあまり期待できません。古くても売買されている物件があることを思えば、建て直しも難しいものがありそう。そこで、探すとしたら中古になりますが、隣接する新宿区内でなら築10年以内の物件もあるものの、渋谷区内では希少。築30~40年という物件のほうが多いのです。
明治通りから1本入ると古い金物屋さんや床屋さんなどが残り、その中にアジア料理店やパティスリーなども混在する
価格はシングルで、古い物件でも1500万円~。カップルで60平米前後で考えると郊外のファミリー向き新築マンションよりも高く、最低でも3000万円の予算は必要でしょう。もちろん、予算があれば、それ以上の広い物件もあります。
商店街の中にある鶴の湯。学生が多く、銭湯が生き残っていることを考えると古いアパートも残っているはず
賃貸はマンションが多く、ワンルーム、1DKといった間取りで12万円~。カップルで考えると20万円~で、上を見ればいくらでもというところ。いわゆる高額賃貸、デザイナーズ系なども探せます。ただし、代々木駅寄りなども含めて考えると、古いアパートが残っていないわけではないので、丹念に探せば10万円以下の物件の可能性もあります。といっても、賃料は8万円前後が目安です。
最近は雑誌などで取り上げられることも増えた千駄ヶ谷周辺。早朝から営業など、個性のある店も多い
都心の便利さに加え、静けさ、緑などの環境も兼ね備えた街、千駄ヶ谷。住宅の価格は高くなりますが、それだけの価値はあります。予算があれば、住んでみたい街のひとつです。