そこで、今回は視点を変えて、EDに悩む男性をパートナーにもつ女性の立場から、治療や回復に向けての心構えを考えてみましょう。
パートナーの悩みでもあるED
EDは、直接的には男性の病気です。しかし、性行為がパートナーとの間で行われる以上、EDは男性だけの問題とはいえません。1999年、日本で最初に「女性性機能外来」を開設した病院がまとめた報告によると、この専門外来を訪れた女性の悩みは
- 男性のED
- 男性の膣内射精障害
- 男性が性交を試みない
この3点に集約されました。
このうち、最も訴えの多かったのは、「パートナーである男性のED」でした。特に、子どもを望んでいる結婚間もない若い世代のケースは深刻で、その半数が離婚を考えていたそうです。
パートナーとの満たされた性生活は、心身共に健康な男女によって営まれる、最も分かりやすい愛情表現です。当然のことながら、性交は一人ではできません。EDが男性だけの問題として片付けられない難しさは、その点にあります。
治療を望んでいることを伝える
男性がEDの治療を受けやすいように、元気づけることが大切
何度かの失敗を重ねると、さすがに「なんとかしなければ」という気持ちになるものの、いざ受診となると尻込みしてしまう男性は少なくありません。
そんなときに背中を押す役目をするのが、パートナーのひと言です。「一人で悩まないで」「二人のこととして考えましょう」などと伝えてあげるとよいでしょう。
つまり、EDは男性だけでなく、二人で解決すべき問題であるという気持ちを訴えることが大切なのです。
その際には、EDの悩みを共有した上で、男性が治療を受けることを自分も望んでいることをきちんと伝え、元気づけましょう。肝心なのは、ED克服のために二人が協力し、性生活を通じてコミュニケーションをより深めていくことです。
女性の85%がED治療薬に好印象
EDは、男性であれば、誰でも起こり得る病気です。その時期が早いか遅いか、程度が軽いか重いかは個人差によります。しかし、幸いなことに、多くの場合は治療が可能です。しかも現在では、ほとんどのEDが内服薬で治療できます。専門医による問診や健康チェックで問題がなければ、内服薬を処方して、効果を確かめます。
病院や医院で処方されているジェネリック商品などのED治療薬は、ほとんどが陰茎(海綿体)の血管を拡張しやすくする作用のある内服薬です。心因性EDの場合には、特に改善効果が高いようです。
性的パートナーをもつ女性を対象とする「よりよい性生活」に関する意識調査(2007年)によると、服用経験者をパートナーにもつ女性のED治療薬に対する印象では、約85%以上が「ある程度は期待どおりだった」と回答。「まったく期待外れ」は約15%でした。
半面、治療の満足度では「満足でも不満でもない」が約70%を占めました。つまり、よりよい性生活の実現には、男性の「機能面」の改善ばかりでなく、男女間のよりよい関係づくりが必要であることがうかがえます。
カップルでの受診・治療も選択肢に
カップルでの受診や治療が効果をもたらすこともある
EDは男性のみならず、女性のQOL(生活の質)にも関わることですから、受診や治療の際には、カップルで訪れ、治療方針の決定に加わることも選択肢の1つだと思います。
実際、治療効果という点で、パートナーの影響は大きいといわれています。いくら薬の助けを借りるといっても、性的な満足感を得るためにはパートナーの理解と協力が不可欠だからです。
ED治療薬のはたらきによる男性の勃起と維持には、パートナーに感じる性的な魅力や、それによる興奮が欠かせません。このことからも、ED治療成功の鍵は女性が握っていることが分かっていただけると思います。
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