「働いても専業主婦」も「専業主婦」も保険料を払うべき時代
私は今回の措置は仕方ないかなと思います。これは「知らずに損してしまった人を救済した」ものであって、「正直者がバカを見た」と煽るのは筋が違います。(そもそも、年金に損得を語るのはやめたほうがいいと思います。あなたは病気になったらいっぱい健康保険から給付をもらえて得をした、と喜びますか?元気だから健康保険料を払っても元が取れないと嘆きますか? 公的年金でいえば長生きすれば得で、年金を何十年でももらい続けることができます。早く亡くなれば損します。インフレなどの時代の変化も大きい。でも、社会保障というのはそういうものです)本来は「善意の人(制度を知らなかった人)」だけ救済すべきですが、「悪意の人(知っていてあえて手続きしなかった人)」との外見的区分は不可能でしょう。また、いちいち検証していては時間もお金もムダになるばかりです。救済するなら一括で救済するしかないでしょう(もっと幅広く救済してもいいと思います)。
一度国会の議論を通すべきだったと思いますが、救済をNGという姿勢には賛成できません。
それよりもむしろ、今回の反省を踏まえ、第3号被保険者制度の役割が終わったということを明らかにし、制度を廃止する議論をすべきです。年金一元化の議論においても、年金財政の強化を考えても「払わないけどもらえる人」の枠は終わらせるべきです。
第3号被保険者制度があっても、子育て中なら誰もが保険料がタダというわけではありません。実は自営業者の妻で専業主婦であった場合は国民年金保険料を納めます。子育て中でも正社員で働く人は厚生年金保険料を納めています。子育て中の女性がみんな保険料タダならいいのですが、女性と女性の間で不公平ではないでしょうか。
それどころか、子育てが終わった専業主婦(例えば50歳代の妻や子どものいない妻)は保険料がタダです。今の枠組みではそうなってしまうのです。これも女性と女性の間で違和感はありませんか?
少なくとも、保険料の免除は子育て期間に限定されるべきであり、子育ての終わった専業主婦は国民年金保険料を納めるべきです。それなら育児支援策としての優遇政策として現代的な理屈が通ります。
でも、そのためには、第3号被保険者制度に抜本的なメスを入れるべきでしょう。
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「正直者がバカを見るのは第3号被保険者制度そのもの」というのなら、私は同意します。しかし、短絡的に損得論議をするのは賢いやり方とは思えません。
この制度で、一番損をしているのは働きながらがんばって子育てしている女性ではないでしょうか。そしてこの制度のわかりにくさそのものが今回のトラブルの原因です。
メディアも有識者を名乗る人々ももっと長い目でみて、損をする人や得をする人の議論をしてほしいと思います。