パリの歴史専門の美術館
今やすっかり若者に人気のショッピング街となっているマレ地区ですが、その名の由来通り、昔は沼地だったという歴史があります(マレとはフランス語で沼地の意味)。歴史の移り変わりを見ているこのマレ地区の中心に、パリの歴史を専門に扱ったカルナヴァレ美術館があります。美術館はカルナヴァレ館とル・ペルティエ・ドゥ・サンファルジョ館の2つの建物で構成。カルナヴァレ館は、もともと1548年に当時のパリ議会の議長の邸宅として建てられたもので、イタリアのルネッサンスの影響を受けており、入口に施された彫刻にその特徴を見ることができます。カルナヴァレという名前の由来は、後にこの建物を買ったイギリス人の名前に似ていることから名付けられたそう。
ル・ペルティエ・ドゥ・サンファルジョ館は、同名の政治家の邸宅として1688年に建てられました。質素な外観と寓話の要素が盛り込まれた中庭が特徴となっています。
美術館の常設展では、先史時代から20世紀に至るまでのパリの歴史に関する膨大な資料が展示されており、所蔵数としては約60万点もあるのだとか。その内容は、版画や写真などのグラフィックアート、家具、小物、絵画、建築、彫刻など多岐にわたり、様々なアプローチでパリの歴史をひも解くことができます。
特に絵画作品では、昔のパリの街並を描かれているものが多く、今のパリと比較してみると面白いかもしれません。そして18世紀のルイ15世・16世の時代や、18世紀末に起きたフランス革命時代の充実度は圧巻です。王の邸宅をそのまま再現した豪華な内装や丁度品、美術品はもちろん要注目。
フランス人が学校で最も重点的に学ぶというフランス革命に関する展示室は、ルイ16世やロベスピエールなど、革命に関わった人物に焦点をあてたり、マリーアントワネットが最後に過ごしたコンシェルジュリーの独房の質素な部屋を再現していたりとかなり生々しい内容となっています。ここでフランス革命について学んだ後に、革命のきっかけとなった市民の蜂起が起こったバスチーユ広場やギロチンが行われたコンコルド広場、コンシェルジュリーを訪れてみると、観光スポットもまた違った見方ができるかもしれません。
パリの歴史にどっぷり浸かった後は、春には花が咲き誇り、手入れされた緑が美しくなる中庭で一休みし、しばし開放感に浸るのがおすすめ。
常設展の他に、期間限定の企画展を頻繁に行うことでも知られているカルナヴァレ美術館。過去にはエジプト人ファッションイラストレーター、キラズの個展や、最近までルイ・ヴィトンの旅の展覧会など、パリの歴史というテーマにこだわることのない自由で画期的な内容となっています。
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■Museé Carnavalet
住所:23, rue de Sévigné 75003 Paris
TEL:01 44 59 58 58
アクセス:St Paul(メトロ1)より徒歩3分
開館時間:10:00~18:00
月休