家賃督促規制法。厳しい法律の成立が間近です
・面会、文書送付、貼り紙、電話等の手法は問わず、人を威迫すること・人の私生活または業務の平穏を害するような言動をすること
・鍵の交換等(ドアロック)、動産の持ち出し・保管、深夜・早朝の督促、さらにはこれらの行為を予告すること
家賃の督促に関して、こうした行為を禁止する法案が、国会で審議されています。すでに参議院は通過しており、平成23年1月に招集された第177通常国会の会期中に成立することが見込まれています。可決成立後は、早期に施行される可能性があります。
この法案は、一部の家賃債務保証会社などによる悪質な取立てが契機となって提出されたものですが、成立すれば、個人事業主の大家さんに対しても、これらの行為が禁じられることになります。「家賃を払ってくれないなら、鍵を取り替えて入室できないようにしますよ」と、滞納者に告げてしまえば、立派な威迫行為の予告になるのです。厳しい罰則があります。
条文、解説などは国土交通省のホームページ(PDF)でご覧になれます。
自主管理をされている大家さんにとっては、特に重要なこの法案です。実際に成立となった場合は、内容をさらによく読んで理解し、慎重な対応を心がけることが求められています。
なお、この法案の正式名称は、「賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案」と、なっています。
今起きている家賃滞納。その対策は?
さて、この法案については一旦置いておき、「今現在、実際に滞納が起きている」というお悩みの声に応え、私からガイダンスを差し上げましょう。賃貸住宅を自主管理されている大家さんに向けたもので、詳しく具体的に対応を手引きするものです。滞納対策の一例として、ご覧下さい。
家賃が遅れたら、まず電話を
行き違いの場合もありますので、丁寧な口調で。契約書や入居申込書などを手元に置いてお話しすると良いでしょう。滞納の原因が「うっかり」である場合は、すぐに支払うことを要請し、いつ支払うのか確約をとりましょう。2日以内が目安です。
滞納の原因のほとんどが「うっかり」なので、大概の場合はこれで解決します。もちろん支払い当日に入金確認することを忘れずに。「今後は1日でも遅れないように」と入居者にしっかり伝えましょう。
もしも入金されない場合はすぐに連絡を取り、再びすぐ支払うことを要請します。
「支払う意思はあるが、すぐには払えない」場合は、期日を決めていつまでに支払うのか確約を取りましょう。一括であれば、どんなに遅くても当月中に。必要と感じたら確約書(念書)を書面でもらいましょう。
しかし「支払う意思はあるが、当月中の一括払いは難しい」という場合は、できれば直接会って、入居者の事情を聴いてみましょう。まず大家さんから「今後も住み続けてほしいので、一緒に解決しましょう」と提案を。その上で、毎月の収入はいくらなのか、なぜ滞納に到ったのかなどの事情を、踏み込んで教えてもらいましょう。
そしてその場で必ず確約書を書面でもらいます。必要であれば分割払いでの返済計画を建ててもらいましょう。分割の場合は、少し余裕があるくらいの、無理のない返済計画を建てることがポイントです。その代わり「支払いが遅れたら退去をお願いする」ことをしっかり伝えましょう。
「支払う意思がない」場合は、悪質な確信犯です。弁護士などの専門家に早い段階から相談することをお勧めします。
リストラで失職した人には住宅手当緊急特別措置があります
リストラなどで職を失った人の住宅を確保するために、平成21年の10月から「住宅手当緊急特別措置事業」がスタートしています。離職者であって住宅を失っている人、または失うおそれのある人を対象に、原則6カ月間(最長9カ月間)、賃貸住宅等の家賃として住宅手当を支給するなどの支援を行う制度です。離職者本人が申請する必要があります。この制度を知らない人が多いので、その場合は教えてあげてください。概要については、厚生労働省のホームページ(PDF)をご覧下さい。詳しくは各自治体にお問合せを。
家賃滞納者と連絡が取れない場合や、長期に渡る滞納への対策、明け渡し訴訟など、3日以内の初期対応以降の対策については、別途、詳しくお話しします。