心臓のリズムと電気信号のあらまし

心臓は1分間に約60~80回の規則的なリズムで拍動を繰り返します。このリズムのもとになる電気信号が心臓の中でどのように作られ伝達されるかを知ることが、不整脈のメカニズムを理解する上で必要です。

刺激伝導系

刺激伝導系。心臓の中で電気信号を作ったり運んだりします

1. リズムのスタート点
リズムつまり電気信号は最初に右心房にある洞結節で作られます。

2. その電気信号の伝達
電気信号は心臓の中にある「刺激伝導系」という神経のような経路をつたって心房から心室に伝達されて、順々にを生じ、効率良く血液が全身に送り出されます。

3. 信号の中継点
この「刺激伝導系」という電気信号の通り道の途中、心房と心室の間には「房室結節」とよばれる中継点があり、ここで信号は調整を受けます。つまり電気信号が心室に伝わるのを適度に遅らせ、心房の収縮のあとわずかな時間差をおいて心室の収縮が起こるようになっています。

不整脈が起きるしくみは一つではないので、ここまでを理解した上で、以下の3パターンをご確認ください。

不整脈のメカニズム(除脈性不整脈の場合)

上記の「刺激伝導系」に異常が生じると心臓は規則正しく拍動しなくなり、脈が乱れてしまいます。洞結節が壊れると脈がひどく遅くなり、またその周辺の心房が侵されるとたとえ洞結節の働きは正常でも洞結節から心房へ電気信号が伝わりにくくなり、ひどいときには失神発作を起こすことがあります。これが洞不全症候群とよばれるものです。

AVB

房室ブロック。X印のところが壊れて断線します。

また房室結節が壊れて心房から心室への電気信号の伝わり方が悪くなる場合を房室ブロックといいます。房室ブロックには不完全ブロックと完全ブロックがあり、不完全ブロックは電気が時々心室へ伝わらなくなるもの、完全ブロックは全く伝わらなくなるものです。

完全房室ブロックになって上からの電気が心室へ全く伝わらなくなると、心室は自力で電気信号を発生して仕事を始めますが、1分間25~35回とかなり遅いスピードになってしまいます。洞不全症候群も房室ブロックも脈が遅すぎたり不規則になるため、失神発作や心不全の原因になります。

不整脈のメカニズム(頻脈性不整脈の場合)

頻脈性不整脈の中で心房の期外収縮をきっかけに始まる上室性頻拍があります。突然に始まって突然に止まる動悸の発作で脈拍は150~200/分、脈としてほとんど数えられないほどになります。WPW症候群という不整脈の病気に見られる頻拍発作の多くはこの上室性頻拍によるものです。

一方心室から始まる頻拍発作は心室頻拍と呼ばれます。上室性頻拍よりもっと重篤で、心室から血液を十分に駆出することが出来なくなるために血圧も下がり、いのちにかかわる心室細動に移行する恐れがありますのでただちに病院へ行くことが肝要です。

不整脈のメカニズム(心房細動の場合)

AF

心房細動のとき。電気信号が心房内でぐるぐるまわります

よくある不整脈として心房細動があります。時々起こる発作性のものとずっと起こりっぱなしの慢性があります。心房がばらばらに動き、けいれんした状態で、心室の収縮も脈拍も全く不規則になります。心臓弁膜症、先天性心疾患、をはじめいろいろな心臓病で見られるほか健康な人にも起こります。高齢者にもよく見られます。

心房細動そのものはいのちにかかわる重大な病気ではないのですが、血液の流れがよどみ心房内に血栓が出来てそれが脳に飛んで脳梗塞を起こすことがあります。野球の長嶋さんやサッカーのオシムさんあるいは元総理大臣の小渕さんらはこうして脳梗塞に襲われてしまったのです。そこで心房細動の治療以上に血栓や梗塞の治療や予防対策が必要となります。心房細動とよく似たものに心房粗動があります。

心房細動に比べて心房の震え方がもう少し粗く、したがって脈拍も心房細動ほど不規則ではなくなります。
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