新たな方向性、個性と調和の両立
最高出力122ps/最大トルク200Nmを発生する1.4リッター直噴ターボに、デュアルクラッチトランスミッションの7速Sトロニックが組み合わせられた。エネルギー回生システムやアウディ初のアイドリングストップ機構を備え、10・15モード燃費は19.4km/lを達成している
デザインアイコンのシングルフレームグリルは、新型A8から採用された新しい多角形デザインを採用
インテリアはスポーティかつシンプルだ。デザインに整合性があって、隅々までデザイナーの目が行き届いている。それが、上質さまでをも演出しているのだ。高価なマテリアルなど使わなくても、飽きの来ない、落ち着いた、けれども乗り手の気分を適度に盛り上げる、フレンドリーなインテリアを造ることができる、といういい見本。国産車もぜひ、見習って欲しいところ。
走りはどうか。ポロと同じプラットフォームゆえ、期待も高かったが、フラットでスポーティなライドフィールが印象的だった。1.4リッター直噴ターボエンジンと7速Sトロニックとの相性はよく、ゆっくり流したいときには満足度の高いエコ走りを、飛ばしたいときには電光石火の変速で力強い加速を、という具合にエコとエゴを両立していた。ふたつの個性を持った、と言っても過言ではない。
プレミアムブランドが放った、新しいコンパクトカー。そこには、社会性を意識し個性と調和を両立する、新たな方向性がある。アウディが、そのベクトルに最もふさわしいブランドであることは、ここ数年の元気よさが存分に物語っているではないか!
課題があるとすれば、あまりにデキのいい末っ子が生まれたゆえ、ブランドイメージも“コンパクト”になる可能性があるということ。A1からA8まで、ワイドレンジ化したブランドイメージの針路を、どう舵取りしてゆくか。A3とのカニバリもさることながら、A8や、デトロイトでデビューしたA6をどう売っていくか。台数を伸ばすチャンスの今こそ、日本におけるアウディの未来が決まりそうな予感がする。
ダッシュボード中央に配置された6.5インチTFTカラーモニターとHDDナビを備える、MMI(マルチメディアインターフェイス)を標準とした。スポーツパッケージには専用クロスを用いたスポーツシートを装備、オプションでミラノレザー(28万円 写真)も用意される