Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

エコとエゴを両立する“デキのいい末っ子”A1(2ページ目)

激戦区の欧州Bセグメントに新たに登場したアウディA1。それほどアウディに興味のなかった人がついつい引き込まれてしまう雰囲気と価格をもつ、正々堂々と“ミニ”クラスにチャレンジしたプレミアムモデルです。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

新たな方向性、個性と調和の両立

アウディA1

最高出力122ps/最大トルク200Nmを発生する1.4リッター直噴ターボに、デュアルクラッチトランスミッションの7速Sトロニックが組み合わせられた。エネルギー回生システムやアウディ初のアイドリングストップ機構を備え、10・15モード燃費は19.4km/lを達成している

アウディA1

デザインアイコンのシングルフレームグリルは、新型A8から採用された新しい多角形デザインを採用

3ドアハッチのスタイリングはクーペ風。ルーフアーチは是非ともコントラストカラーにして乗ってみたい。そうすることで、ヘビーなフロントマスクとのバランスも取れる。全長4m以下のクルマで、これほどの存在感は、ミニとは違う意味で印象的だ。

インテリアはスポーティかつシンプルだ。デザインに整合性があって、隅々までデザイナーの目が行き届いている。それが、上質さまでをも演出しているのだ。高価なマテリアルなど使わなくても、飽きの来ない、落ち着いた、けれども乗り手の気分を適度に盛り上げる、フレンドリーなインテリアを造ることができる、といういい見本。国産車もぜひ、見習って欲しいところ。

走りはどうか。ポロと同じプラットフォームゆえ、期待も高かったが、フラットでスポーティなライドフィールが印象的だった。1.4リッター直噴ターボエンジンと7速Sトロニックとの相性はよく、ゆっくり流したいときには満足度の高いエコ走りを、飛ばしたいときには電光石火の変速で力強い加速を、という具合にエコとエゴを両立していた。ふたつの個性を持った、と言っても過言ではない。

プレミアムブランドが放った、新しいコンパクトカー。そこには、社会性を意識し個性と調和を両立する、新たな方向性がある。アウディが、そのベクトルに最もふさわしいブランドであることは、ここ数年の元気よさが存分に物語っているではないか!

課題があるとすれば、あまりにデキのいい末っ子が生まれたゆえ、ブランドイメージも“コンパクト”になる可能性があるということ。A1からA8まで、ワイドレンジ化したブランドイメージの針路を、どう舵取りしてゆくか。A3とのカニバリもさることながら、A8や、デトロイトでデビューしたA6をどう売っていくか。台数を伸ばすチャンスの今こそ、日本におけるアウディの未来が決まりそうな予感がする。
アウディA1

ダッシュボード中央に配置された6.5インチTFTカラーモニターとHDDナビを備える、MMI(マルチメディアインターフェイス)を標準とした。スポーツパッケージには専用クロスを用いたスポーツシートを装備、オプションでミラノレザー(28万円 写真)も用意される


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