お産は計画や予定通りにはいかないもの
バースプランってどんなもの? バースプランの書き方は?
バースプランとは、文字通りの意味で「出産計画」と直訳されています。プランや計画というとスケジューリングというイメージを持つ人もいますが、妊娠に至るまでの日々をスケジューリングできなかったように、お産の流れは多様ですから、決めておくことはできません。
お産は一人ひとり経過が違いますし、「人生プラン」を書いてもその通りにはなかなかいかないもの。自分の計画や予定通りにはいかないもの。ガチガチのプランを立てても意味はないのです。
ですからバースプランは「自分がどういうお産をしたいかということを伝える希望書」と解釈してください。産院のスタッフにどのようなお産を望んでいるかという「希望」を伝えて、コミュニケーションを深める有効な方法だと理解していただければいいと思います。
要求ばかりを書いたバースプランはNG
自分が希望することを書いてみることが第一歩ですが、あれをしたい、これをして欲しいという要求だけを書けばよいのではありません。妊婦さんの中にはバースプランのことを「オーダーシート」のように思っている方も多いようです。たとえば、「会陰切開はしたくない」「陣痛促進剤は打ちたくない」という要求だけを書いて出しておけば、そのようにしてくれるもの、と誤解なさっている場合もあります。そんな方の場合は実際にお産が終わってから「バースプランと全然違った」「自分が望んでいたお産ではなかった」と落ち込む人もいるのです。
コミュニケーションシートととらえよう
欧米では、バースプランを書いた用紙をキャンディーボックスに詰めて、産院のスタッフに配って回る妊婦さんもいるそうです。「私はこういうお産をしたいと思っています、協力してくださいね」というコミュニケーションの一つの方法ととらえているんですね。自分の要求ばかりの心ないバースプランを出すことによって、スタッフに敬遠されてしまうこともなきにしもあらず。バースプランさえ出せばあとは話し合わなくて済むのだと思うのは間違いです。自分の要求だけを書いて出すものではなく、バースプランを産院のスタッフに見せて「どんなお産にしていこうか」ということを話し合うためのもの。そのための「コミュニケーションシート」にしていくことが大事です。
思いが伝わるバースプランを書くためには
バースプランのフォームはさまざまで、施設ごとに違います。自由に書いてきていいですよ、というところも多いでしょう。どのように書けば、自分の思いを伝えることができるでしょうか。たとえば、自然出産を望んでいることは分かっても、「会陰切開はしたくない」「陣痛促進剤は使わないで」「この音楽をかけてください」「アロマを焚いて」といったパターン化した要望が書いてあって、それでおしまいというパターンも多いようです。
極端な場合、雑誌や本に載っているバースプランの文例がそのまま書き写されていることもあるようです。私が参考事例としてある雑誌に書いたバースプランを「そのまま丸写ししてきた妊婦さんがいたわよ」と、助産師さんから言われることもあります。
文章の上手い・下手は関係ありません。バースプランの提出を求められない産院でも、ぜひお産に能動的になるために、産院とのパートナーシップを深めるために、バースプランを書いてみましょう。
そのためには、「私はどういうお産がしたいか」をイメージすることです。理屈をびっしり並べるのではなく、出産を自分なりにイメージして、赤ちゃんを迎えることを、実りのある精一杯の経験として感じ取ろうとしている姿勢を伝えてみてください。その人の思いが伝わるようなバースプランを産院のスタッフが読んで「よし、この経験を目指している人の思いを叶えるために、一緒にがんばろう」と思ってくれたら素晴らしいですよね。