確定申告の考え方
確定申告が必要になるのはどんな人?
1.年金以外の収入がある人
60歳以降もアパート経営などの不動産収入や自営業などの事業収入がある人は、確定申告時に年金収入も合わせて申告しなければなりません。給与収入のある人も、給与については年末調整で所得税が精算されますが、給与収入以外に20万円以上の所得がある場合は確定申告が必要です。
年金収入を確定申告する場合は、毎年1月に送付される年金の源泉徴収票が必要になります。 給与収入のある人は、年末調整後勤務先から発行される源泉徴収票と年金の源泉徴収票の両方を確定申告時に提出します。確定申告の手続時まで手元に保管しておきましょう。
2.2つ以上の老齢年金(老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給している場合は除く)を受給している人
年金に関する扶養親族等申告書が提出できるのは、2つ以上の老齢年金の受給している場合でも1ヵ所のみになります。老齢厚生年金と老齢基礎年金はどちらも国が給する老齢年金なので、日本年金機構に扶養親族等申告書を返送すれば厚生年金と基礎年金の両方に各種の控除を反映させて所得税を計算しますが、退職共済年金など他の年金制度から老齢年金が支給されている場合は所得税の計算をそれぞれの制度ごとに行っています。
例えば、公務員として定年退職を迎えた後、民間企業に再就職して厚生年金に加入した場合、民間企業を退職した後は、共済制度から支給される退職共済年金と国から支給される老齢厚生年金(65歳以上ならば老齢基礎年金も支給)の両方を受給します。もし、共済年金を支給する共済組合に扶養親族等申告書を提出すると退職共済年金には各種控除を反映した所得税が課税されますが、老齢厚生年金は各種の控除がない状態で所得税が課税されます。このため、退職共済年金と老齢厚生年金の合算額に対する所得税を計算するには確定申告が必要になります。現在、共済制度は国家公務員・地方公務員・私立学校教職員の3制度がありますが、国民年金・厚生年金と共済制度に加入したことがある人は確定申告が必要です。
3.生命保険料控除や医療費控除などを受けることができる人
所得税を計算する過程で収入から差し引ける所得控除には基礎控除や配偶者控除などの「人的控除」だけでなく、生命保険を支払った場合の生命保険料控除や医療費の自己負担が高額になった場合の医療費控除などの「物的控除」もあります。人的控除は扶養親族等申告書を提出することで受けることができますが、物的控除を受けるためには確定申告が必要になります。医療費の領収証や生命保険の領収証などを確定申告書に添付して手続を行います。
4.年内に扶養親族が増えたり障害の状態に該当した人
毎年提出する扶養親族等申告書には、扶養する家族の有無や障害の状態を記入しますが、1年の途中で申告した内容に変更があった場合は、確定申告が必要です。
以上のような4つのケースが老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給していて確定申告が必要なケースです。なお、リタイア後に、公的年金だけでなく企業年金や個人年金保険から年金を受給している人もいるでしょう。続いて、公的年金以外の年金を受給している場合の手続きをみていきましょう。