ホクロの治療を考えるとき
ほとんどのホクロはまったく害がなく、「治療」が必要になることは通常ありません。治療を考えるのは、以下のようなケースです。
- 悪性・良性の鑑別診断が必要と判断された場合
- ひげ剃り時など日常生活で不便を感じる場合
- あまりに目立ち、審美的に気になる場合
大きさや形態などにより、治療法はさまざま。従って病院を受診してから治療法を選択する必要があります。治療法は、レーザー治療、電気凝固、くりぬき手術、摘出術の4種類です。それぞれ特徴がありますが、悪性の可能性が少しでも疑われる場合、細胞が良性か悪性かを確認する病理検査が必要になるため、くりぬき手術、摘出術のどちらかが選択されます。この2つの方法は、健康保険の適応があります。
レーザー治療でのホクロ除去
比較的単純なCO2レーザーと色素レーザーの治療があります。どちらも健康保険の適応外です。
■ CO2レーザー
長所として2~3回の治療で治癒が得られること。短所は陥凹変形(くぼみ)が残る場合が多いこと。大きさや部位により予想されるくぼみが許容できるかどうかでこの治療を行うか決定します。
■ 色素レーザー
顔面の平坦なホクロ
色素レーザーは主としてメラニン色素の周りにだけ熱を発生させる機械なので、正常細胞にダメージが少ないという大きな利点があります。長所は陥凹変形(くぼみ)がほとんどみられないこと。短所は治療回数が平均10回程度と多いことです。隆起したホクロには適応できません。
色素レーザー治療7回後 ホクロは消失している
いずれにしても自由診療のため、治療費用と治療期間が病院により違います。レーザー専門施設での治療をお勧めします。
電気凝固でのホクロ除去
電気メスと似た機械でホクロを焼いて治療する方法。病理検査ができないこと、陥凹変形があること、色素沈着が残る可能性があるなど、短所が多いため、私はこの治療はお勧めしません。
くりぬき手術でのホクロ除去
少し隆起のあるホクロ くりぬき手術を選択しました
比較的小さなホクロの場合に有効な手術です。長所は健康保険の適応があること、病理検査ができること、手術時間が短いこと。
ホクロを切除しますが 縫合は行いません
短所は、陥凹変形(くぼみ)、隆起した変形が残る場合があること、まれにケロイドとなることです。
くりぬき手術後2年 軽度の隆起がありますがほとんど目立ちません
右の写真はくりぬき手術後2年が経過したときの写真。軽度の隆起のみで、ほとんど目立っていないことが分かると思います。
摘出術でのホクロ除去
隆起のある比較的大きなホクロ 摘出術を選択しました
摘出術では、小さなホクロから大きなホクロまで治療が可能です。
ホクロを切除した後
長所は健康保険の適応があること、病理検査ができること、陥凹変形は目立たなく比較的平らに治癒します。
手術終了時
短所は瘢痕(傷跡)が残ること。
手術後1ヶ月 今後半年を経過すれば目立たなくなります
右写真は手術後1ヶ月が経過したときのもの。半年程度でかなり目立たなくなりますが、若干の傷跡は残ります。
ホクロ治療の注意点
どの治療法を選択する場合も、ホクロの形、大きさ、部位などを見てから治療法を医師と患者さんとで直接相談する必要があります。治療を希望するホクロがある場合は、信頼のおける病院を受診してください。ただし大きな病院ほど外来が混みあうため、短時間で治療法を決めるのが難しいこともあります。まずはどの治療法を提案されるかを聞き、自分でもメリット・デメリットを考えてから再度受診し、それから治療法を選択したり、セカンドオピニオンを考えるのもよいでしょう。