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「仕事とは何か?」を小学校で教える理由

「経済のプロが小学校にやってきた」シリーズでは、仕事と経済の授業をお伝えしてきた。ここで見えてきたのが「キャリア教育」の重要性だ。県単位ではどう考えているのか?これについて県の学校教育課の方に話を伺った。

川崎 さちえ

執筆者:川崎 さちえ

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「経済のプロが小学校にやってきた」シリーズで、仕事と経済の授業の内容をお伝えしてきた。経済のプロが小学生に語りかけるという、珍しい授業だ。

【バックナンバー】
第1回目 仕事を問う(仕事とは何か?)
第2回目 給料の謎(なぜ給料をもらえるのか?)
第3回目 サザエさんで仕事を考える
第4回目 中国に負けるな!

小学校での「仕事と経済」の授業をするうえで、1つのキーワードとして出てきたのが「キャリア教育」だった。聞きなれない言葉に「なんだ、それは?」と思ったし、なぜそのような教育が必要になったのか?というシンプルな疑問も生まれた。

キャリア教育に関して、小学校の校長先生や教頭先生に話を聞くことはできたが、では県単位ではいったいどのような認識を持ち、取り組を進めていこうとしているのか。それについて、栃木県の教育委員会事務局でキャリア教育を担当する学校教育課・小中学校教育担当の菊池高夫氏に話を聞いた。ことをもとに、考えをまとめた。

なぜ「キャリア教育」が必要になったのか? 

私たちの世代が小学生・中学生だったころには、「キャリア教育」を意識した授業はなかったように思う。しかし、平成11年からは国が「キャリア教育」を提唱しだし、小学校から「仕事」や「経済」を意識した取組が行われるようになった。その背景には、将来に見通しが立てられない子供が増えたこと、就職難、あるいは就職をしてもすぐにやめてしまう若者の増加、そしてニートの問題がある。

「仕事とは何か?」の授業はキャリア教育の一貫として行われた。

「仕事とは何か?」の授業はキャリア教育の一貫として行われた。

仕事云々の前に、そもそも将来への希望や夢を持てるようにする。ここから始めなければならないという現実が、教育の現場にはあったのだ。その方法の1つとして、将来の夢にむかって努力することの大切さに気付かせ、自分だけではなく地域社会との関わり、社会への関心を持たせるための取り組みが必要とされた。それは中学校や高校というレベルではなく、小学校時代から始めることとして、現在教育の現場では認識されている。

教育現場の苦悩 

今回、小学校で仕事や経済の授業を外部の講師が行うというのは、実はそう多くないことだという。その理由の1つは、環境教育など他にも子供たちが学ぶことがあり、時間の調整が難しいことが挙げられる。したがって、学校教育の課程の中で、経済の話を盛り込んだり、仕事について取り上げたりすることが多いそうだ。もちろん、体験学習として工場の見学や、地元のスーパーで働くといったことも行うのだが、それと今回のような授業はまた違うものである。

さらに一方向からの話ではなく、多方面からの指導、投げかけが必要であるということもある。将来大人になったとき、自分の立場は場面場面によって異なってくる。たとえば、家庭では父親になり夫になり、会社では社員になり場合によっては上司や部下になる。そして地域の中では何らかの役員になるかもしれないし、子供の野球クラブのコーチになるかもしれない。つまり1人の人間を見たときには、実に多くの顔を持つことになるのだ。そのシチュエーションによってコミュニケーションの仕方や行動は違ってくるのだから、子供たちもできるだけ多くの場面で学ぶのが理想となる。したがって、1つの方向から教えるのではなくて多面的な指導が求められることになる。

ただし、外部の講師(あるいはボランティア)の方に、授業とはまた違った話をしていただく機会を持つことは、教育の面からいっても非常にプラスになりえる。違った環境の中で教師とは違う側面からの話を聞くことは、子供たちにとってもいい刺激になるからだ。
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