適用条件に当てはまれば、リフォームローンも「住宅ローン減税」の対象になる。
こうした施策の背景にあるのが、消費刺激による景気下支え効果の期待です。分譲マンションだけを見ても2009年末現在、わが国には既に約562万戸の中古ストックが存在しています。そして、そのうちの約94万戸が築30年を過ぎた高経年マンションで占められています。当然、室内の設備は老朽化・陳腐化しており、リフォームの必要性は高まっています。そこで、こうしたニーズを顕在化させるべく、インセンティブを与えて需要喚起しようというのが住宅エコポイント制度の最大の狙いです。
こうした政府の狙いは“大当たり”しており、当該制度に後押しされてリフォーム工事を行った住戸は11月末現在、累計(3月~11月末)で17万2031戸に達しました(下表参照)。
後述するように、適用条件に当てはまればリフォーム工事のための借入れ(リフォームローン)も住宅ローン減税の対象になります。さらに2009年度の税制改正により、住宅の購入と同時にリフォームも行っていれば、「取得のためのローン」と「リフォームローン」の“両方”が減税対象として認められるようになりました。税制面でもリフォーム工事を促そうというわけです。「知らなかった」とならないためにも、本コラムでしっかり最新情報を入手しておきましょう。
リフォーム時の住宅ローン減税/適用条件
- リフォームする以前から自分で「所有」かつ「居住」している住宅(分譲マンションでは専有部分)のリフォームであること
- あるいは、「所有(購入)」と同時に行ったリフォームであること。リフォームする以前から「居住している」必要は必ずしもない
- リフォーム工事が完了してから6カ月以内に入居し、2010年12月31日まで引き続き住んでいること
- 工事に要した費用が総額100万円を超えていること
- 「自己の居住の用」以外の用に供する部分がリフォーム対象に含まれている場合には、「自己の居住の用」に供する部分に係る工事に要した費用が総額の2分の1以上であること
- リフォーム後の床面積(登記簿面積)が50平方メートル以上あり、リフォーム後の床面積の2分の1以上が専ら居住の用に供されるものであること
- 償還期間が10年以上の借入金(リフォームローン)を有すること。その際、自宅を取得するための住宅ローンが残っていても問題ない
- 次のいずれかのリフォーム工事であること
【住宅ローン減税の適用対象となるリフォーム工事】-------------------------
- 分譲マンションでは、専有部分内の床または壁の過半について行なう一定の修繕・模様替えの工事
- 専有部分内の各居室・キッチン・浴室・トイレ・洗面所・納戸・玄関または廊下の一室の床または壁の全部について行なう修繕・模様替えの工事
抽象的で分かりにくい表現ですが、噛み砕いて説明すると、日曜大工の延長のようなリフォーム工事は対象にならないということです。「工事金額が100万円超」とあるように、ある程度の大がかりなリフォームでなければならないことは容易に想像できるはずです。工事の程度(規模)に関し、建築基準法に規定する「大規模の修繕」または「大規模の模様替え」の工事 ―― と説明がなされています。一例として、以下のような工事が該当します。
- フローリング床の貼り替えや畳床からフローリング床への貼り替えで、全床面積の半分以上の工事
- 間仕切り壁の一部について、その位置を変えたり取り外したり、あるいは新たに設ける工事
ひと口にリフォームといっても、住宅ローン減税の対象になるリフォームと認められるには、マンションの場合、「一定の修繕・模様替えの工事」であることが必要です。単なる壁紙の張り替えや壁の塗装だけのような内装工事は対象になりません。その点、十分にご注意ください。
続いて、次ページでは確定申告に必要となる添付書類についてご説明します。