投資信託にかかる税金はいくら?税率は20.315%
投資信託の税金のかかり方を解説します。株式投資信託と公社債投資信託は税金の取り扱いはどちらも同じです。これにくわえ平成25年1月1日から平成49年12月31日までに生じる所得については、東日本大震災からの復興のための財源として「所得税額×2.1%」が復興特別所得税として課税されるため、実際に支払う税率は20.315%となります●<目次>
1 国内公募投資信託の税金は
2 確定申告の義務があるのは?
3 確定申告で「損」を「得」にかえる方法とは?
4 「源泉徴収ありの特定口座」の人でも確定申告すべきケース
1 国内公募投資信託の税金は
●株式投資信託分配金…20%の源泉分離課税
確定申告は不要
売却・解約…20%の申告分離課税
原則確定申告は必要、源泉徴収ありの特定口座の場合は確定申告不要
●公社債投資信託
分配金…20%の源泉分離課税
確定申告は不要
解約・償還益(利子所得)…20%の源泉分離課税
確定申告は不要
※復興特別所得税は考慮せず
2 確定申告の義務があるのは?
分配金についてはあらかじめ源泉徴収されるので、確定申告は不要です。売却益のほうは原則として確定申告が必要です。証券会社から送られる「取引報告書」や「年間取引報告書」をもとに申告しましょう。ただし、会社員で売却益が20万円以下の場合(副業など他の収入も含めて)は申告不要です。
また、下の図にあるように「源泉徴収ありの特定口座」で取引している人は原則、申告不要です。
源泉徴収ありの特定口座では、確定申告に必要な手続きを証券会社がかわりに行ってくれます。
今年の売買で残念ながら「損失が出た」という人もいるでしょう。その人は確定申告で払いすぎた税金を取り戻したり、翌年以降の税金を減らせる可能性がありますよ。
3 確定申告で「損」を「得」にかえる方法とは?
株式投資信託や上場株式等の売買で損失が出た場合は、確定申告をすることで払いすぎた税金を取りもどしたり、翌年以降の税金を減らせる場合があります。◆その1 譲渡損失の損益通算の特例をつかう
平成28年から、
・株式投資信託の分配金、売却損益
・上場株式(ETF、REITを含む)の配当金、売却損益
・公社債の利子、償還益、譲渡益
・公社債投信の分配金、譲渡益
……は、損益通算(プラスとマイナスを差し引き)できるようになっています。
たとえば今年1年の結果が以下のとおりだったとします。
1. A投資信託を売却して30万円の損失
2. B株を売却して5万円の利益
3. C投資信託から分配金10万円の受け取り
これらを損益通算すると「-15万円(=-30万円+5万円+10万円)」になります。
つまり今年の儲けはゼロなのですから、税金を払う義務はありません。あらかじめ分配金から源泉徴収されている2万315円(分配金10万円の20.315%)を、確定申告をすることで取り戻すことができます。
◆その2 譲渡損失の繰越控除の特例をつかう
株式投資信託や上場株式等の取引で出た損失(上の例では今年の利益から引ききれなかった損失15万円)は、確定申告をすることで翌年以降最長3年間にわたって繰越控除できます。
つまり、繰越したぶんだけ翌年以降の利益や分配金にかかる税金を減らせるわけです。損失の繰越控除を受ける間は、毎年確定申告が必要となるので注意しましょう。
4 「源泉徴収ありの特定口座」の人でも確定申告すべきケース
上記の損益通算は、平成28年から源泉徴収ありの特定口座内であれば自動的に証券会社のほうで計算、納税を行ってくれるようになりました。よって一つの‘源泉徴収ありの特定口座’で投資信託や株を取引し、分配金もその口座で受け取っている(証券会社に配当受入の申し出が必要)という人は手間いらずです。
しかし、1年間の合計がマイナスとなった場合は、確定申告で損失の繰越控除を申請することをお忘れなく。
また、複数の口座で取引している人は口座間の損益通算を自分で行う必要があります。一方の口座はプラス、一方はマイナスというときは確定申告をして税金を取り戻しましょう。
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