住宅ローン控除/住宅ローン控除はこう受ける!

住宅ローン控除、買い換えの場合は譲渡所得に注意!

住宅を買い換えて、新たに住宅ローンを組んだ場合でも、住宅ローン控除を受けることができます。しかし、買い換えの際の、譲渡所得や譲渡損失によっては、住宅ローン控除の適用の仕方が変わります。詳細をみていきましょう。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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売却して譲渡所得が発生したら、住宅ローン控除はどうなる?

住宅ローンを利用して新規に住宅を購入した際に、利用できる住宅ローン控除。この制度の適用条件は、いくつかありますが、その一つに「居住の用に供した年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと」というものがあります。

つまり、新規に住宅を購入した年を含め、前後5年間で、住宅を売却し、譲渡所得が出た場合に減税の特例を受けていると、住宅ローン控除は受けられないのです。譲渡所得とは、売却した金額から、購入した金額を差し引き、さらに売買にかかった費用などを差し引いたもの。ここで言う、減税の特例には、以下の3つがあります。
  • 居住用財産の3000万円の特別控除
    居住用の財産を売却した際に、譲渡所得があっても、3000万円までは所得税がかからないというものです。3000万円を超えた場合は、その金額に所有した期間別の税率で計算された税額が発生します。
  • 長期譲渡所得の特例
    所有期間が5年を超える居住用財産を売却した際に、適用される軽減税率。3000万円の特例と併せて使うことができます(所有期間が10年超の場合は、さらに軽減されます)。
この二つの特例の考え方は、売却した時点で所得税の控除を受けているため、住宅ローン控除との二重の控除は受けられない、ということ。さらに言えば、売却後すぐに新規の住宅を購入せず、いったん賃貸などに住み、その後、2年のうちに新たに購入した場合でも、住宅ローン控除を受けることができないということです。
  • 特定の居住用財産の買い換え特例
    居住用財産を売った金額より、買い換えた住宅の取得金額の方が大きければ、課税されないという制度です。この制度は税金の支払いを免除する制度ではなく、課税の繰り延べをするものです。この特例を受けるには、所有期間10年超、居住期間が通算で10年以上などの条件があります。また、この特例を受ける場合も、新規に借り入れた住宅ローンに対する控除は受けられません。
 

買い換えで譲渡損失が出たときは、繰越控除が終了してから

譲渡所得とは逆に、買い換えによって譲渡損失が出た場合は、どうなるのでしょうか。

譲渡損失は、他の所得との損益通算によって、譲渡した年とその翌年以降3年(都合4年)は損失額を繰越控除することができます。買い換えで新しい住宅ローンを借り入れた場合、住宅ローン控除を併用できますが、実際には、譲渡損失の額によっては、課税所得がゼロになるため、住宅ローン控除する所得税がないことになります。

一例で説明すると、仮に給与所得が600万円の人が、買い換えで2000万円の譲渡損失があったとします。この年の課税所得はゼロとなります。それでも損失分は1400万円残っているため、これを翌年以降も繰り越して控除していくことができます。

結果的に、損失がなくなるのは、4年後。この年は課税所得が400万円になるので、これにかかる所得税から、住宅ローン控除によって税額が控除されることになります。

住宅ローン控除は10年ですが、この例のように、3年間は控除する税金がなかったとしても、適用期間は始まっています。控除できる年から10年ではなく、残り7年が実質的な控除期間となります。あくまでも適用開始から10年ということです。
 
譲渡損失は繰越ができる

譲渡損失は翌年以降3年間、繰越ができる


単純に、新規に住宅ローンを借り入れ、住宅を購入した場合は、確定申告(会社員は翌年からは年末調整で対応)すれば、ローン残高に応じた金額が税額控除で還付されるだけなので、わかりやすいのですが、不動産の売却や買い換えなどが絡んでくると、少々厄介。さまざまな税の軽減措置があるものの、条件が細かく規定されているので、理解するのは一筋縄ではいきません。

ひと昔前とは違い、居住用不動産の買い換えなどで、多額の譲渡所得が出るケースはそう多くはないでしょう。冒頭で説明した、居住用不動産の3000万円の特別控除や、長期譲渡所得の特例をあえて使わずに、新規に住宅ローン控除を受けたほうが、結果的に節税になる場合もあります。

税金はとかく難しいと思ってしまいますが、不動産にかかわる税金は10万円、100万円単位で変わってきますので、自分にとって一番有利な選択になるよう、税務署や税理士など専門家のアドバイスを受けることが、一番大事なことだと言えるでしょう。

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