所得後6カ月以内に入居し、年末まで住み続けているとは?
「取得後6カ月以内に入居し、2010年12月31日まで引き続き住んでいること」―― たった1行の文章ですが、特に転勤族の人にとっては気をつけなければいけない適用条件の1つです。以下、モデルケースでご説明します。
【モデルケース1】
サラリーマンにとって転勤は宿命(?)
2010年3月末に引き渡しを受け、4月から新築マンションに入居している共働き夫婦(子供なし)です。突然、夫が国内転勤を命じられ、同年9月から単身で赴任先へ行ってしまいました。私(妻)は12月31日まで引き続き住み続けていますが、夫は転勤先で大晦日を迎えることになり、年末時点で居住してるのは私(妻)1人です。この場合、住宅ローン減税は受けられないのでしょうか。ちなみに、マンション(所有権)の名義は夫と妻で50:50。収入合算したので、住宅ローン(連帯債務)は70:30となります。
サラリーマンの宿命として、特に男性は転勤辞令が出されれば断るわけにはいかないでしょう。お気持ちはよく分かります。さて、住宅ローン減税の適用可否についてですが、ご心配はいりません。ご主人・奥さんの分、いずれも受け取ることができます。制度上、国内転勤の場合には、ご主人が単身赴任してもご家族が新居に年末まで残っていれば「ご主人も住んでいるもの」とみなしてくれるのです。単身赴任したサラリーマンに対する特例措置と考えると分かりやすいかもしれません。全額対象となりますので、さっそく確定申告の準備を始めてください。
【モデルケース2】
現在、私(夫)と妻、子供の3人家族です。2009年に新築マンションの売買契約を済ませ、2010年1月末に引き渡しを受けました。そして、すぐに家族全員で引っ越し、新居での生活を始めました。ところが、3月に会社から突然の転勤命令(国内)が出され、家族全員で転勤先へ引っ越さなければならなくなりました。その間、新居は空室の状態です。その後、子供の学校のこともあり、4月に妻と子どもは自宅へ戻ったのですが、転勤そのものは解除されないため、私1人だけが単身赴任という形で別居している状態です。年末まで、この状態(単身赴任)は変わりません。専業主婦の妻と就学中の子供だけが大晦日は新居で過ごします。この場合、住宅ローン減税は受けられないのでしょうか ――。
どちらのケースもご主人が単身赴任である点は変わりありませんが、ケース2では「誰も住んでいない期間」が1カ月あり、一見、「12月31日まで“引き続き”住んでいる」という条件に抵触しているように思われます。しかし、心配はいりません。住宅ローン減税は適用されます。
まず、家族全員が引き渡し後すぐに入居しているため、「6カ月以内に入居する」という条件はクリアしています。家族全員で入居後、1カ月間だけ誰も住んでいない期間が発生していますが、4月から年末までは奥さんとお子さんが住み続けますので、ケース1同様、ご主人も住んでいるとみなされ、減税対象になります。
決して、「一度入居したら、その年の12月31日まで1日たりとも未入居期間があってはならない」という意味ではないのです。6カ月を過ぎての入居は適用外ですが、本ケースは6カ月以内だったため条件をクリアすることができました。「引き続き」≠「途切れなく」である点、正確に理解しておきましょう。
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