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誰も話さないスポーツの裏側(2)アスリート自身の課題(2ページ目)

前回の記事に引き続き、ブルータグの今矢賢一さんに話を伺う。今回は、アスリート自身が抱えている問題について。私たちが知り得ない現実が浮き彫りになってくる。

川崎 さちえ

執筆者:川崎 さちえ

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アスリートに教育の場を! 

ガイド:アスリートへの教育の場はとても重要ということですね?

今矢さん:もちろん素晴らしいアスリートもいますが、子供に教える、子供に伝えるというのはすごく難しいですよね。それなりの高度なスキルが必要になるので、自分の言葉でちゃんと伝えていけるように、小さいときから教育環境を用意していくのは必要だと思います。たとえば、Jリーグやプロ野球の選手が、地域のため子供たちのために活動に参加していくことは重要でしょうね。

ガイド:海外のアスリートはどうなんですか?

今矢さん:たとえばオーストラリアの水泳選手だったイアン・ソープさんはピークの時に引退をして、イアンソープ青少年育成財団を設立して次の人生を歩んでいます。彼は非常にコミュニケーション能力が高い人ですね。その背景には、ちゃんとしたメディアトレーニングなど専門的に教えられていることがあります。小さい頃から意識させ、サポートしていくことが、トップアスリートを輩出している国と日本との大きな違いかもしれません。

ガイド:ただ、スポーツを教えればいいというわけではないんですね。

勝てばいいのか?

今矢さん:「勝てばいい」ということではないでしょうね。それではあまりにももったいないと思います。「一流のアスリートは一流の人格者」でなければなりません。これがイアン・ソープさんに代表される方たちです。
彼らは国のプログラムによって育てられてきていますから、10代のうちに学ぶことができます。トップアスリートになって国を代表して世界で闘い、そこで勝つということが一体どういうことなのか。その先の自分の人生をどう設計していくのか。現役の後には引退があって、しかも普通の人よりはずっと早い段階でやってくるのだから、セカンドキャリアをどう設計していくのかを10代のころから意識させられます。それは素晴らしいことですよ。それが今の日本にあるかというと、まだまだ少ないですよね。そういう動きはありますが、これからです。

ガイド:こういうところに国の予算を使ってもいいのではないかと思いますけどね。それは何省になるのですか?

国の政策の1つとしてスポーツを考えていくことが、今後の課題にもなってくるのかもしれない。

国の政策の1つとしてスポーツを考えていくことが、今後の課題にもなってくるのかもしれない。

今矢さん:これは今の日本のスポーツにおける根本的な問題ですけど、日本は先進国の中で、スポーツそのものを国の政策としてしっかりとらえていないので、スポーツを管轄する省庁がないのです。わかりやすくいえばスポーツ省がないのですよ。他の国にはスポーツを統括する場所がちゃんとあるんですけどね。日本にスポーツ省がないということは、意識の低さ、インフラ、仕組みとしての大きな問題でもあります。


日本におけるスポーツの問題点が浮き彫りになってきた。次の記事でさらに詳しく聞いてみる。
誰も話さないスポーツの裏側(3)行動で道が拓ける」に続く

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