保険料控除申告書はなぜ書く必要がある?
会社員の人は、会社から下記のような「給与所得者の保険料控除申告書」を手渡された頃でしょう(すでに提出済みの人もいるかもしれませんが)。この書類は年末調整に使うものです。年末調整とは、会社(雇用者)が社員の1年間の給料から所得税額を計算し、毎月の給料から天引きしている所得税額の合計から足し引きし、12月の給料で納税を完結させる仕組みです。
ところが、毎月の給料から天引きしている所得税額には、民間の生命保険料や地震保険料などの所得控除額は考慮されていません。会社では社員がどのような保険に入っていて、いくら保険料を払っているかは把握していないからです。そこで、年末調整で保険料控除を反映するために書類を使って、社員1人ひとりに尋ねるわけです。生命保険料控除を申告すれば税金は少なくなる(12月の給料が増える)のが一般的なので、忘れずに提出しましょう。
ちなみに、給料天引きで保険料を払っている場合は、この書類の提出は不要です。
書類を書く前に準備したいこと
生命保険料控除には、「給与所得者の保険料控除申告書」の他に、10月頃に保険会社から送られてきている「生命保険料控除証明書」が必要です。この証明書は「一般用」、「介護医療用」、「個人年金用」があります。証明書には、どの種類の年間保険料がいくらかが記載されています。失くした場合、しまい忘れていくら探しても見つからない場合は、保険会社に頼んで再発行してもらいましょう(参考:保険料控除のハガキの見方と紛失時の対応方法)。ネットで再発行の手続きを受け付けている会社もあります。
そして、複数の保険に入っていたら、「一般用」、「介護医療用」、「個人年金用」それぞれに、保険料の支払い総額の多い順に並べます。3種類の控除の対象になるのはそれぞれ最高4万円、合計12万円(平成23年12月31日までに加入した旧契約は一般5万円、個人年金5万円の合計10万円)までなので、何枚(何商品)書けばいいかを選びます。
例えば、一般の生命保険で月1万円の保険料を払っているものがあれば、それだけで年間4万円(旧契約は5万円)を超えてしまうので、あとは書く必要はありません。介護医療、個人年金も同じことがいえます。
なお、平成28年1月から、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)がスタートしていますが、申告書には個人のマイナンバーの記入欄は設けられていません。
「一般の生命保険料」の申告書の書き方
対象となるのは、保険金受取人が年末調整を受ける本人もしくは本人の配偶者、またはその他の親族(6親等内以内の血族と3親等以内の姻族)である生命保険です。上の図を見ながら説明します。
- ○○生命など、保険会社の名前を書きます。
- 控除証明書に書いてある保険の種類(終身保険、定期保険、養老保険など)を書きます。
- 控除証明書に書いてある保険期間を書きます。終身保険は終身、定期保険や養老保険は満期までの年数です。
- 契約者の名前(基本的に自分の名前)を書きます。
- 保険金の受取人の名前と続柄を書きます。ここは控除の対象になるかどうかの大事なポイントなので、必ず記入を。
- 控除証明書に記載されている新・旧の区分のどちらかに○をつけます。新契約は平成24年1月1日以降に加入した保険、旧契約は平成23年12月31日までに加入した保険です。
- 控除証明書に書いてある「申告額」または「参考額」を書きます。これは、12月まで払い続けた場合の保険料合計です。もし、年の途中で解約した場合は、その月までの金額が記載されています。
- 7で書いた保険料のうち、新・旧それぞれの合計額を記入します。
- 新・旧それぞれの控除額を下の段の計算式で計算して金額を記入します。最高額は、新契約は4万円、旧契約は5万円です。
- 新・旧の合計額を記入します。最高額は4万円です。
- 旧の金額(最高5万円)と10の金額(最高4万円)の大きいほうの金額を記入します。
>>>令和元年分の保険料控除申告書の書き方、記入例はこちら
>>>令和元年分の生命保険料控除の書き方、記入例はこちら
>>>令和元年分の地震保険料控除の書き方、記入例はこちら
「介護医療保険料」の申告書の書き方
対象となるのは、一般の生命保険料控除と同じです。上の図を見ながら説明します。
- ○○生命など、保険会社の名前を書きます。
- 控除証明書に書いてある保険の種類(医療保険、介護保険など)を書きます。
- 控除証明書に書いてある保険期間を書きます。終身保障タイプは終身、定期保障タイプは満了までの期間です。
- 契約者(基本的に自分の名前)を書きます。
- 給付金・保険金の受取人の名前と続柄を書きます。
- 控除証明書に書いてある「申告額」または「参考額」を書きます。
- 記載した合計額を記入します。
- 7の金額を下段の計算式(新保険料等用)で計算した金額を記入します。最高4万円です。
「個人年金保険料」の申告書の書き方
対象となるのは「個人年金保険料税制適格特約」を付けた個人年金保険で、この特約を付けるには、年金受取人が契約者または配偶者のいずれかなこと、年金受取人は被保険者と同一人なこと、保険料払込期間が10年以上なことなどの条件をクリアしているものに限られます。一時払いで加入した個人年金保険は、一般の生命保険料控除の対象になります。上の図を見ながら説明していきましょう。
- ○○生命など、保険会社の名前を書きます。
- 年金の名称を書きます。
- 年金支払期間を書きます。
- 年金の受取人の名前(被保険者である自分)を書きます
- 年金支払開始日を書きます。
- 控除証明書に記載されている新・旧の区分のどちらかに〇をつけます。新契約は平成24年1月1日以降に加入した保険、旧契約は平成23年12月31日までに加入した保険です。
- 控除証明書に書いてある「申告額」または「参考額」を書きます。これは、12月までに払い続けた場合の保険料合計です。もし、年の途中で解約した場合は、その月までの金額が記載されています。
- 7で書いた保険料のうち、新・旧それぞれの合計額を記入します。
- 新・旧それぞれの控除額を下の段の計算式で計算して金額を記入します。最高額は、新契約は4万円、旧契約は5万円です。
- 新・旧の合計額を記入します。最高額は4万円です。
- 旧の金額(最高5万円)と10の金額(最高4万円)の大きいほうの金額を記入します。
- 「一般」、「介護医療」、「個人年金」の控除額の合計を記入します。最高12万円です。
万が一、期限までに提出できなかった場合は、来年に確定申告をしましょう。
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