3DSは巻き返しではなく、引継ぎ

DSと3DSの図

巻き返しをはかるというよりは、いい状態で完走したDSからバトンタッチするというイメージでしょう。

それでは、違和感のある部分をちょっと丁寧に見ていきましょう。まず、任天堂赤字というのはいいですね、これは事実です。その理由として、DS不振はちょっと変です。DSの販売減少というのは正しいですが、これはハードの世代交代によるものが主たる原因と考えられます。

それから、3DSで巻き返し、というのもよく言われることなんですが変な表現ですね。おそらくは、不振という言葉にくっついて出てきてると思われます。DSは最後の大作ポケットモンスター ブラック・ホワイト(以下ポケモンBW)を日本で発売し、あっという間に約400万本を売り上げました。据え置きも含めた日本ゲーム市場における2010年の最大ヒットはこのポケモンBWとなるでしょう。これが今後世界中で大ヒットし、有終の美を飾ることが予想されます。

また、ライバルであるPSPはまだ次世代機の発表が無いという状況です。というと、不振で巻き返しなんてとんでもない話で、圧倒的な携帯ゲーム機市場への支配力を持つDSのビジネスを、3DSへうまく引き継げるか、というのがポイントになります。

ゲームビジネスの前年度比はあまり意味が無い

ポケモンBWの図

ポケモンBWのような大型タイトルがいつ発売されるかということによって、瞬間的な数字は大きく変わってしまいます。

ゲームビジネスにおいて、前年度比というのはあまり意味がないんですね。5、6年で繰り返されるサイクルの中で考えるべきなので、普及期に前年よりも増えているのは当然かもしれませんし、世代交代で一度落ち込むのも自然な流れです。それに対し、普及の時期を好調と言って、世代交代の時期を不振と表現してしまうと、本当にうまくいってるのか、つまづいているのか、よく分からなくなってしまいます。

また、いわゆるキラータイトルと呼ばれるような大型タイトルがいつ発売されるかというのも大変重要で、今回で言えば、ポケモンBWが海外ではまだ未発売であるというところがハードの売り上げにもソフトの売り上げにも大きく影響しています。

つまり、瞬間的に観測した数字は事実としてあるものの、その意味は大きな流れの中で考えていかなければいけない、ということです。それは当たり前のようで難しく、時に誤解を生むこともあります。しかし、ちょっと変な話ですが、ある意味こういう誤解が起こってしまうというのは、ゲーム業界にとって良い兆しでもあるんです。